条文・判例・学説を体系的に整理
胎児への死因贈与と当事者能力
胎児は、贈与契約の受贈者となることができないから、胎児を受贈者として死因贈与をすることはできない(遺贈については民法965条・886条により胎児も受遺者となり得る)。
胎児の損害賠償請求権と出生前の代理
胎児が不法行為により損害を受けた場合、民法721条により損害賠償請求権については既に生まれたものとみなされるが、胎児の両親が出生前に胎児を代理して加害者に損害賠償を請求することはできない(判例)。
死因贈与と胎児
死因贈与は契約であり、判例のとる停止条件説の下では、胎児を受贈者とする死因贈与をすることはできない。
昭和7年10月6日大審院民集11巻2023頁(阪神電鉄事件)
胎児の不法行為賠償請求権の代理和解
胎児は不法行為に基づく損害賠償請求権については既に生まれたものとみなされる(民法721条)が、判例は停止条件説をとり、胎児の母が出生前に胎児を代理してした損害賠償請求権の和解は、出生後の本人を拘束しない。
昭和7年10月6日大審院民集11巻2023頁(阪神電鉄事件)
胎児の認知
父は胎内に在る子でも認知することができるが、母の承諾を得なければならない。
胎児の遺贈に関する権利能力
胎児は遺贈については既に生まれたものとみなされる。
生存する失踪宣告者の宣告後の法律行為
失踪の宣告は死亡を擬制するにとどまり、実際に生存している失踪者の権利能力・行為能力を失わせないから、失踪宣告を受けた者が別の場所で生存していて失踪宣告の後にした不動産の売却は、有効である。
推定相続人による失踪宣告の請求
不在者の推定相続人は、家庭裁判所に失踪宣告の請求をすることができる。
失踪宣告と法律行為
失踪宣告は不在者を死亡したものとみなす制度にすぎず本人の権利能力を奪うものではないから、失踪宣告を受けた者が失踪宣告中に行った法律行為は、相手方の善意悪意を問わず当然に効力を有する。
失踪宣告取消し後の財産返還
失踪宣告が取り消された場合、失踪宣告によって財産を得た者は、失踪者の生存につき善意であれば、財産を得ることによって受けた利益のうち現に利益を受けている限度でのみ失踪者に返還すれば足りる(民法32条2項)。
失踪宣告と本人の行為の効力
失踪宣告は失踪者の権利能力を消滅させるものではなく、失踪宣告後に本人が生存中にした法律行為は失踪宣告の取消しがなくても有効である。
普通失踪の死亡時期
不在者の生死が7年間明らかでないときの失踪宣告においては、7年間の期間が満了した時に死亡したものとみなされる。
特別失踪の死亡時期
戦地に臨んだ者、沈没した船舶中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者についての失踪宣告では、その危難が去った時に死亡したものとみなされる。
失踪宣告取消しと双方善意
失踪宣告の取消しがあった場合において失踪宣告後その取消し前に善意でした行為はその効力を失わないが、善意は当事者双方について必要である。
昭和13年2月7日大審院第一民事部民集17巻59頁(所有権取得登記並抵当権設定登記抹消登記手続請求事件)
失踪者の死亡と失踪宣告の取消し
失踪宣告を受けた者が失踪宣告の取消しがされないまま実際に死亡した場合であっても失踪宣告を取り消すことができる。
家裁選任の不在者財産管理人の権限消滅
家庭裁判所が不在者の財産の管理について必要な処分として管理人を選任した場合、その後、不在者が自ら財産を管理することができるようになっても、管理人の権限は、家庭裁判所の取消しがない限り、当然には消滅しない。
不在者の意義
不在者とは、従来の住所又は居所を去った者をいい、その所在が分からないことは要件ではない。
不在者の生死不明と選任管理人の改任
不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。
不在者の選任した管理人への保存処分
家庭裁判所は、不在者が置いた管理人に対しても、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。
不在者の生存判明と管理人の権限外行為
不在者が置いた管理人が、不在者の定めた権限を超える行為をするのに家庭裁判所の許可を得ることができるのは、不在者の生死が明らかでない場合に限られ、不在者の生存が明らかな場合には、この規定による許可を得ることはできない。