条文・判例・学説を体系的に整理
無効等確認訴訟への事情判決の準用
行政事件訴訟法38条3項は、取消訴訟に関する事情判決の規定(31条)を無効等確認の訴えに準用していないから、裁判所は、処分が違法かつ無効であるときに、公共の福祉に適合しないことを理由に請求を棄却することはできない。
原子炉許可無効確認と民事差止訴訟
原子炉の周辺に居住する住民は、原子炉の設置者に対する建設・運転の差止めを求める民事訴訟を提起していても、その民事訴訟は処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに当たらないから、設置許可処分の無効確認を求める訴えを適法に提起することができる。
平成4年9月22日最高裁第三小法廷民集46巻6号1090頁(原子炉設置許可処分無効確認等)
無効等確認訴訟の審査請求前置の有無
無効等確認の訴えは、個別法で取消訴訟の提起に際し審査請求の前置が定められている処分についても、審査請求に対する裁決を経ないで提起することができる。
無効等確認訴訟への執行停止の準用
無効等確認の訴えについては、無効の処分であっても、処分の外観が存在するため執行の可能性があることから、執行停止の規定(行政事件訴訟法25条から29条まで)が準用されている。
無効確認訴訟における立証責任
無効確認訴訟において重大かつ明白な瑕疵の立証責任は原告側にあり、抽象的な主張にとどまらず当該処分に重大かつ明白な瑕疵があることを具体的に立証しなければならない。
昭和42年4月7日最高裁第二小法廷民集21巻3号572頁(原野売渡処分無効確認請求)
無効確認訴訟と国賠訴訟の併合
無効確認訴訟の提起後に、当該処分が違法であることを理由として、それにより生じた損害について国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求に係る訴えを無効確認訴訟に併合して適法に提起することができる。
無効確認判決の第三者効
取消判決の第三者効を定めた行政事件訴訟法32条1項は、無効等確認の訴えには準用されない(同法38条1項・3項参照)から、無効確認訴訟の認容判決が確定しても、原告は第三者に対して処分が無効である旨を判決の効力として主張することはできない。
課税処分無効確認訴訟の原告適格
課税処分を受けた納税者は、当該課税処分に係る税金をいまだ納付していないため滞納処分を受けるおそれがあるときは、課税処分の無効を前提とする債務不存在確認訴訟等を提起することができるとしても、課税処分の無効等確認訴訟の原告適格を有する。
昭和51年4月27日最高裁第三小法廷民集30巻3号384頁(所得税更正処分等取消請求)
原発周辺住民の無効確認訴訟と民事差止め
原子炉設置許可処分の周辺住民は、人格権に基づき原子炉の建設・運転の差止めを求める民事訴訟を提起することができるとしても、当該処分の無効等確認訴訟の原告適格を有する(もんじゅ訴訟)。
平成4年9月22日最高裁第三小法廷民集46巻6号571頁(原子炉設置許可処分無効確認等請求事件)
換地処分の照応原則違反と無効確認の適格
土地改良事業の換地処分を受けた者が照応原則違反を理由に処分の無効を争う場合、従前地の所有権確認訴訟等を提起できるとしても、換地処分の無効確認訴訟の原告適格を有する。
昭和62年4月17日最高裁第二小法廷民集41巻3号286頁(換地無効確認)