条文・判例・学説を体系的に整理
行政組織法の国会制定
国家における行政組織のうち、少なくともその基本構造については、国会が定めるべきものと解されている。
国の安全配慮義務違反の賠償請求の時効
国が、勤務中の事故により損害を被った公務員に対して、安全配慮義務違反による損害賠償の義務を負う関係には、会計法30条は適用されず、消滅時効期間については民法の規定が適用される。
昭和50年2月25日最高裁第三小法廷民集29巻2号143頁(損害賠償請求)
内閣府の長たる総理大臣の分担管理
内閣府の長は内閣総理大臣であり、内閣総理大臣は、内閣府に係る事項についての内閣法にいう主任の大臣として、内閣府設置法4条3項に規定する事務を分担管理する。
違法と考える通達に沿う職務命令の服従
職員が通達を違法と考えた場合であっても、通達に沿った上司の職務命令に当然に服従義務がなくなるわけではなく、服従拒否を理由とする懲戒処分が当然に違法となるわけではない。
主任の国務大臣の臨時代理の性質
内閣法10条は、主任の国務大臣に事故のあるとき、又は欠けたときに、内閣総理大臣又はその指定する国務大臣が臨時に主任の国務大臣の職務を行うと定める権限の代理(臨時代理)の規定であり、権限の委任に関する規定ではない。
租税法律関係の信義則の慎重な適用
信義誠実の原則は、租税法律主義が妥当する租税法律関係においても、適用について慎重でなければならないものの、特別の事情が存する場合には適用される余地がある。
昭和62年10月30日最高裁第三小法廷集民152号93頁(相続税更正処分等取消、所得税更正処分等取消)
国税滞納処分の差押えと不動産対抗要件
民法177条は、国税滞納処分による差押えの関係にも適用される。
昭和31年4月24日最高裁第三小法廷民集10巻4号417頁(公売処分無効確認等請求)
質問検査権の目的と憲法適合性
税務調査を行うための質問検査権の制度は、刑罰を背景とした間接強制による証拠資料の収集を可能にしているとしても、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結び付く作用を一般的に有する手続として認められたものではなく、租税の公平確実な賦課徴収のために必要な資料を収集することを目的とする手続であって、必要性、合理性が肯定できるから、憲法第35条及び第38条の趣旨に反するものではない。
昭和47年11月22日最高裁大法廷刑集26巻9号554頁(所得税法違反)
質問検査の犯則調査目的と協力意思の検討
判決当時の法人税法156条違反の質問検査権の行使かどうかの判断では、犯則調査担当者からの依頼や調査に協力する意図の下に証拠資料を保全するために行使されたかといった事情も検討され、行使した主体の意図を一切考慮しないわけではない。
平成16年1月20日最高裁第二小法廷刑集58巻1号26頁(法人税法違反被告事件)
行政委員会と大臣の指揮監督
国家行政組織法3条により省の外局として置かれる行政委員会には、委員長及び委員が独立してその職権を行う旨が設置法で定められているものがあり(例:公害等調整委員会設置法5条)、その具体的な職権行使について当該省の大臣の指揮監督を全面的に受けるものではない。
犯則調査への移行可能性と質問検査権
税務調査によって事案の内容を把握することにより、犯則調査に移行する可能性があることを認識しながら、質問調査権を行使したにとどまる場合は、必ずしも判決当時の法人税法156条によって禁止されている質問検査権を犯則調査のための手段として行使する場合に当たらない。
平成16年1月20日最高裁第二小法廷刑集58巻1号26頁(法人税法違反被告事件)
犯則調査の犯罪捜査としての実質
犯則調査は一種の行政手続であるが、その実質が租税犯の捜査としての機能を有する場合には、質問検査権を犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使することは許されず、判決当時の法人税法156条の趣旨に反する。
平成16年1月20日最高裁第二小法廷刑集58巻1号26頁(法人税法違反被告事件)
デジタル庁の設置(内閣に置かれる)
デジタル庁は、内閣府の外局ではなく、内閣に置かれる機関として設置されている。
府省外局の委員会の職権行使の独立性
内閣府・省の外局として設置されている委員会は、大臣の所轄の下に置かれるが、個別の設置法により職権行使の独立性が保障されている。
独立行政法人・国立大学法人職員の身分
独立行政法人の役員及び職員が国家公務員とされるのは行政執行法人に限られ(独立行政法人通則法51条)、国立大学法人の役員及び職員は国家公務員とされず、刑法その他の罰則の適用についてのみ法令により公務に従事する職員とみなされる(国立大学法人法19条)。
上級行政庁の代執行と法律の根拠
下級行政庁が権限の行使をしない場合に、上級行政庁が下級行政庁に代わって権限を行使すること(代執行)は、一般的な指揮監督権に基づくものとしては許されず、法律の根拠を要する。
独立行政法人の役職員と国家公務員
独立行政法人の役員及び職員が全て国家公務員とされているわけではなく独立行政法人の種類によって国家公務員でない者もいる。
行政調査担当職員による刑事告発
判例は、法人税法上の質問検査の権限の行使に当たって取得収集される証拠資料が後に犯則事件の証拠として利用されることが想定できたとしても、そのことによって直ちに、質問検査の権限が犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使されたことにはならないとした。
平成16年1月20日最高裁第二小法廷刑集58巻1号26頁(法人税法違反被告事件)
国家行政組織法と組織規制
国家行政組織法においては、官房、局及び部の設置は法律によらず政令で定めることができるとされている。
委託と委任の区別
市が民間事業者との間で住民票の写しの交付を委託する契約を締結した場合、市長は住民票の写しを交付する権限の一部を当該事業者に委任したことにはならない。