条文・判例・学説を体系的に整理
臨時会召集要求と内閣の召集決定義務
憲法53条後段は、各議院を組織する一定数以上の議員に臨時会召集要求をする権限を付与するとともに、この要求がされた場合には内閣が臨時会召集決定をする義務を負うこととしたものであるが、個々の国会議員の臨時会召集要求に係る権利又は利益を保障したものとは解されない。
令和5年9月12日最高裁第三小法廷民集77巻6号1515頁(憲法53条違憲国家賠償等請求事件)
参議院の緊急集会の実例
憲法54条2項但書の参議院の緊急集会は、昭和27年(1952年)と昭和28年(1953年)の2回、実際に召集されている。
条約承認の修正権肯定説と両院協議会
条約の承認について国会の修正権を肯定する見解によれば、参議院で衆議院と異なった議決をした場合の両院協議会の開催(憲法61条・60条2項)は、国会が条約を修正して承認する場合を想定したものと理解することができる。
憲法優位説と違憲条約の国際法上の効力
憲法の効力が条約に優位するとの見解(憲法優位説)によれば、違憲と判断された条約は国内法的効力を有しないが、そのことから当然に国際法上の効力も否定されるものではない。
憲法98条2項の「条約」と国会の承認
憲法98条2項の「日本国が締結した条約」には、国会の承認を経ずに内閣限りで締結される行政取極も含まれ得る。
常会の召集時期・会期・延長(国会法)
国会法は、常会は毎年1月中に召集するのを常例とし(2条)、その会期は150日間とし(10条)、会期は両議院一致の議決で延長することができるが、常会にあっては延長は1回を超えてはならない(12条)と定める。
衆議院の解散と参議院で審議中の議案
衆議院が解散されたときは参議院は同時に閉会となり、会期中に議決に至らなかった案件は後会に継続せず、衆議院の解散による閉会中は参議院で議案の継続審査を行わないから、参議院で審議中であった衆議院送付の議案は、継続審査に付されることなく廃案となる。
秘密会の記録の公表
両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、かつ一般に頒布しなければならない。
予算法律説と憲法上の議決手続
予算を法律の一種とみる予算法律説に立つと、予算の議決には原則として法律案の議決について定める憲法59条1項が適用され、この規定の「憲法に特別の定のある場合」として、憲法60条(予算の衆議院先議と衆議院の優越)が適用されると解される。
予算法形式説と国会の予算修正権
予算を法律とは異なる独自の法形式とみる予算法形式説に立っても、予算に対する国会の修正に制限が存しないと解することができる。
予算を要する法律と予算の不一致
予算措置を必要とする法律が成立してもその執行に必要な予算が伴わないという法律と予算の不一致は、予算を法律とは別個の形式とみる予算法形式説の下で生じ得るが、予算を法律の一種とみる予算法律説に立てば当然に生じなくなるわけではない。
法律の署名・連署(憲法74条)
法律には、主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とし、国務大臣全員の署名が求められるわけではない。
議院の憲法改正原案修正権の範囲
各議院は内閣が提出した法律案に対して修正権を有しており、この修正権は憲法改正案についても及ぶと解される。
憲法改正国民投票と最低投票率の有無
日本国憲法の改正手続に関する法律には、国民投票が一定の投票率に達しないときは成立しないものとする最低投票率の定めは設けられていない。
憲法改正の公布
憲法96条2項は、憲法改正について国民の承認を経たときは、天皇が国民の名で、この憲法と一体を成すものとして直ちにこれを公布すると規定する。
租税法律主義と条例
旭川市国民健康保険条例事件判決は、憲法84条にいう「法律」には条例も含まれ得ることを否定していない。
平成18年3月1日最高裁大法廷民集60巻2号587頁(国民健康保険料賦課処分取消等請求事件)
保険料率の委任と憲法84条
旭川市国民健康保険条例事件判決は、条例が保険料率の決定等を市長に委任していることについて、委任された事項の内容や保険料率に係る算定基準の定め方等を検討し、憲法84条の趣旨に反しないと判断した。
平成18年3月1日最高裁大法廷民集60巻2号587頁(国民健康保険料賦課処分取消等請求事件)
国民投票と選挙の関係
憲法改正に関する国民投票が衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙と同時に行われる場合であっても、日本国憲法の改正手続に関する法律が適用される。
国民投票運動の規制緩和
日本国憲法の改正手続に関する法律では、憲法改正案に対する国民投票運動について、公職選挙法による選挙運動の規制と比較して戸別訪問の禁止がないなど規制が緩和されている。
選挙に関する事項の法律委任
憲法47条は選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は法律で定めると規定し、国会に広い立法裁量を認めている。