条文・判例・学説を体系的に整理
相続分の全部譲渡者の遺産確認訴訟適格
共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は遺産確認の訴えの当事者適格を有せず、訴え提起後に相続分の全部を譲渡した場合も同様である。
平成26年2月14日最高裁第二小法廷民集68巻2号113頁(遺産確認,建物明渡等請求事件)
給付の訴えの権利主張と原告適格
給付を請求する権利を有すると主張して給付の訴えを提起する者は、真に当該権利を有しているか否かにかかわらず、当該訴えの原告適格を有する(当事者適格は、訴訟物たる権利関係についての当事者の主張を基準に判断される)。
平成23年2月15日最高裁第三小法廷集民236号45頁(損害賠償等請求事件)
筆界確定訴訟の隣接地所有者の当事者適格
争いのある筆界を挟んで相隣接する土地の各所有者は、筆界確定の訴えの当事者適格を有する。
入会団体の総有権確認訴訟の原告適格
入会団体が権利能力のない社団に当たる場合、当該入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産につき、これを争う者を被告とする総有権確認請求訴訟の原告適格を有する。
平成6年5月31日最高裁第三小法廷民集48巻4号1065頁(所有権確認等)
権利能力なき社団の当事者適格
権利能力のない社団は、構成員全員に総有的に帰属する不動産について、その所有権の登記名義人に対し当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有する。
平成26年2月27日最高裁第一小法廷民集68巻2号192頁(所有権移転登記手続等請求事件)
境界確定訴訟の当事者適格
境界(筆界)確定訴訟の当事者適格を有するのは、相隣接する土地の各所有者であり、単なる登記名義人ではない。
平成7年7月18日最高裁第三小法廷集民176号491頁(境界確定等)
法人でない社団の所有確認訴訟
ある土地が法人でない社団の所有に属することの確認を求める訴えにつき、当該団体が原告となり認容判決を得る余地はない。
昭和47年6月2日最高裁第二小法廷民集26巻5号957頁(所有権移転登記請求)
社団代表者の交代に伴う名義移転請求
法人でない社団の旧代表者の個人名義で登記されている不動産に関し、代表者の交代に伴い新代表者の個人名義への所有権移転登記手続を求める訴えにつき、新代表者が原告となる余地がある。
平成26年2月27日最高裁第一小法廷民集68巻2号192頁(所有権移転登記手続等請求事件)
共有者による抹消登記請求
土地の共有者の一人は、不実の登記名義を有する者を被告としてその抹消登記手続を求める訴えを提起することができる。
昭和31年5月10日最高裁第一小法廷民集10巻5号487頁(不動産所有権移転登記抹消登記手続請求)
権利帰属主体と当事者適格
貸金返還請求訴訟において、原告が実際には貸主でないことが明らかになったときは、請求が棄却されるのであって、原告適格を欠くものとして訴えが却下されるのではない。
平成23年2月15日最高裁第三小法廷集民236号45頁(損害賠償等請求事件)
筆界確定訴訟の被告適格
筆界確定訴訟においては、隣接土地につき処分権能を有しない者は当事者適格を有せず、隣接土地の賃借人は被告適格を有しない。
昭和57年7月15日最高裁第一小法廷集民136号597頁(立木所有権確認並引渡)
被告となる者が死亡した認知訴訟の被告
認知の訴えにおいて、被告とすべき父が死亡している場合には、検察官をその訴えの被告としなければならない。
業務執行組合員の任意的訴訟信託の適格
民法上の組合において、組合規約に基づいて、自己の名で組合財産を管理し、対外的業務を執行する権限とともに組合財産に関する訴訟を追行する権限を与えられた業務執行組合員は、組合員から任意的訴訟信託を受けたものとして、特段の事情のない限り、自己の名で組合財産に関する訴訟を追行する当事者適格を有する。
昭和45年11月11日最高裁大法廷民集24巻12号1854頁(立替金請求)
差押債権者の第三債務者への取立訴訟
債務者の債権を差し押さえた差押債権者は、第三債務者に対する取立訴訟の原告となることができる。
遺贈登記請求の被告適格
遺言執行者がある場合において、特定不動産の受遺者が遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起するときは、相続人ではなく遺言執行者を被告とすべきである。
昭和43年5月31日最高裁第二小法廷民集22巻5号1137頁(所有権移転登記手続請求)
遺贈登記後の相続人の抹消請求の被告
遺言の執行として受遺者宛に遺贈による所有権移転登記がされた後、相続人がその抹消登記手続を求める訴えを提起する場合の被告は、遺言執行者ではなく受遺者である(最判昭51.7.19)。
昭和51年7月19日最高裁第二小法廷民集30巻7号706頁(所有権移転仮登記抹消登記手続本訴等請求)
特定財産承継遺言と遺言執行者の権限
特定の不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言がされた場合、遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り、遺言執行者があるときでも、当該不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格を有する者は、遺言執行者ではなく当該相続人である(最判平10.2.27)。
平成10年2月27日最高裁第二小法廷民集52巻1号299頁(土地賃借権確認、借地権確認)
遺言無効の持分確認と遺言執行者の適格
遺言執行者がある場合、相続人は、遺言の無効を主張して相続財産についての持分権の確認を求める訴えを、遺言執行者を被告として提起することができる(最判昭51.7.19、最判昭31.9.18)。
昭和51年7月19日最高裁第二小法廷民集30巻7号706頁(所有権移転仮登記抹消登記手続本訴等請求)
代位債権者への債権による相殺の否定
債権者代位訴訟において、第三債務者は、自己が代位債権者に対して有する債権を自働債権として被代位債権と相殺することはできない(被代位債権の債権者は債務者であって、代位債権者とは債権が対立しない)。
被保全債権消滅による代位訴訟の却下
債権者代位訴訟で被保全債権(代位原因)が存在しないことが明らかになったときは、原告は当事者適格(訴訟追行権)を欠くものとして、請求棄却ではなく訴えの却下となる(最判昭48.4.24)。
昭和48年4月24日最高裁第三小法廷民集27巻3号596頁(建物明渡等請求)