条文・判例・学説を体系的に整理
事業年度の登記不要
株式会社の事業年度は、登記事項とされていない。
取締役の氏名の登記
株式会社の登記事項は、取締役の氏名と、代表取締役の氏名及び住所であり(会社法911条3項13号・14号)、取締役一般の住所は登記事項ではない。
取締役会設置会社の登記
取締役会設置会社であるときは、その旨が登記事項とされている。
常勤監査役の登記不要
監査役会設置会社であるときは、その旨と監査役の氏名は登記事項であるが、常勤監査役である旨は登記事項ではない。
電子公告の貸借対照表の全文掲載
貸借対照表の要旨の公告で足りるのは、公告方法が官報又は日刊新聞紙である株式会社に限られ、電子公告を公告方法とする株式会社は、貸借対照表の全部を公告しなければならない。
持分会社の公告方法の三方法限定
会社の公告方法は、株式会社か持分会社かを問わず、官報に掲載する方法、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告のいずれかに限られ、持分会社に限り本店の公衆の見やすい場所に掲示する方法によることはできない。
電子公告と予備的公告方法
株式会社が電子公告を公告方法とする旨を定める場合においては、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法として、官報に掲載する方法又は時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法のいずれかを定めることができる。
公告方法の定款記載
株式会社は、定款で公告方法を定めなかった場合は、官報に掲載する方法が公告方法となる。
会社の目的の定款記載と登記
株式会社の目的は定款の絶対的記載事項であり(会社法27条1号)、設立の登記の登記事項でもある(同911条3項1号)。
目的外行為の取締役責任と権利能力制限説
目的の範囲外の行為をした取締役は、会社法423条1項により会社に対して責任を負い得るが、これは会社の権利能力が目的の範囲に限られるかとは別の問題であり、権利能力制限説に対する批判として「取締役に過大な責任を負わせる」ことを挙げるのはふさわしくない。
会社の権利能力の目的範囲と必要な行為
会社は定款に定められた目的の範囲内において権利能力を有するが、目的の範囲内の行為とは、定款に明示された目的自体に限られず、その目的を遂行するうえに直接又は間接に必要な行為がすべて含まれ、必要か否かは行為の客観的な性質に即して抽象的に判断される(最大判昭45.6.24)。
昭和45年6月24日最高裁大法廷民集24巻6号625頁(取締役の責任追及請求)
会社目的による能力制限説の批判の適否
会社の権利能力を定款所定の目的の範囲内に限る考え方に対しては、目的が登記されていても取引の相手方が個々の取引ごとにそれが目的の範囲内かを確かめることは期待できず判断も困難であること、及び目的の範囲外として無効とすれば会社に責任免脱の口実を与え、有利な取引は有効とし不利な取引は目的外と主張する使い分けを許すことが、取引の安全の観点からの批判となるが、新規事業のたびの定款変更の煩雑さや取締役に過大な責任を負わせることは、この考え方に対する批判としてはふさわしくない。
定款の事業目的記載
定款には事業目的を記載又は記録しなければならず、これは会社の活動範囲を明確にし株主の利益を保護するための規律である。
発起設立の払込期日・期間の要否
発起設立では、発起人は設立時発行株式の引受け後遅滞なく出資に係る金銭の全額を払い込めばよく、出資の払込期日又は払込期間を定める必要はない。
会社成立前の発行可能総数の定款の定め
発起人は、発行可能株式総数を定款で定めていない場合、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって定款を変更して、発行可能株式総数の定めを設けなければならず、発行可能株式総数を定款で定めた状態で株式会社が成立しなければならない。
設立時取締役の出資履行完了の調査
設立時取締役は、その選任後遅滞なく、出資の履行が完了していること等を調査しなければならない。
払込仮装の発起人責任と無過失の免責
発起人が引き受けた設立時発行株式の出資に係る金銭の払込みを仮装した場合、その仮装に関与した発起人(仮装した者を除く)は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、仮装した出資に係る金銭の支払義務を負わない。
認証済み定款の会社成立前の変更制限
公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、33条7項・9項(検査役の報告に基づく変態設立事項の変更決定と、変更された事項の定めを廃止する定款の変更)又は37条1項・2項(発行可能株式総数の定めの設定・変更)による場合を除き変更することができず、発起人の全員の同意によっても、本店の所在地を変更する定款の変更をすることはできない。
発起設立の成立後の株式引受取消制限
発起人は、株式会社の成立後は、錯誤、詐欺又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。
現物出資財産の著しい価額不足と責任
現物出資財産を給付した発起人は、株式会社の成立の時における当該現物出資財産の価額が定款に記載された価額に著しく不足する場合には、検査役の調査を経たときであっても、当該株式会社に対し、不足額を支払う義務を負う。