条文・判例・学説を体系的に整理
内縁の不当破棄と不法行為による損害賠償
内縁関係を正当な理由なく破棄した者は、内縁関係の他方に対し、不法行為を理由とする損害賠償責任を負う(内縁は婚姻に準ずる関係として法的保護を受ける)。
内縁への第三者の不当干渉と不法行為
内縁の当事者でない者であっても、内縁関係に社会観念上許容されるべき限度を超えた不当な干渉をしてこれを破綻させたときは、不法行為者として損害賠償の責任を負う。
昭和38年2月1日最高裁第二小法廷民集17巻1号160頁(損害賠償請求)
内縁の共同生活費用の分担
内縁の夫婦間の共同生活を維持するのに通常必要な費用は、婚姻から生ずる費用に準じて(民法760条の類推)、当事者が分担する。
特別寄与者の範囲と内縁配偶者
特別寄与料の支払を請求することができる特別寄与者は、被相続人の「親族」(相続人、相続放棄者、欠格者及び廃除された者を除く)に限られ、内縁の配偶者は被相続人の親族ではないから、特別寄与者として特別寄与料の支払を請求することはできない。
おじと姪の近親婚の禁止
直系血族又は三親等内の傍系血族の間では婚姻をすることができないから、兄弟姉妹の実子(おい・めい)とは婚姻をすることができない。
書面によらない財産分与契約と解除
財産分与契約は贈与契約ではないから、書面によらない贈与の解除に関する民法550条は適用されず、書面によらない財産分与契約であっても、各当事者は、履行の終わっていない部分についても解除をすることはできない。
重婚の婚姻取消請求権者と親族
重婚の婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
離婚認容判決での財産分与の申立て
裁判所は、離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、申立てがあるときに限り、財産の分与に関する処分についての裁判をする。
婚姻届受理時の昏睡と婚姻の効力
夫婦としての実質的生活関係が存続している男女が婚姻意思に基づいて婚姻届を作成した後、届書の受理の時に一方が昏睡状態に陥っていたとしても、届出書受理以前に翻意するなど婚姻の意思を失う特段の事情がない限り、婚姻は有効に成立する。
昭和44年4月3日最高裁第一小法廷民集23巻4号709頁(婚姻無効確認請求)
方便としてされた協議離婚の届出の効力
夫婦が法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいて離婚の届出をしたときは、その届出が何らかの方便のためにされたものであっても、協議離婚は有効である。
昭和38年11月28日最高裁第一小法廷民集17巻11号1469頁(離婚無効確認請求)
離婚届作成後の翻意と離婚の効力
離婚届を作成した後、届出の時までに一方が離婚の意思を翻していたことが明確であるときは、協議離婚の届出は離婚の意思を欠くものとして無効である。
昭和34年8月7日最高裁第二小法廷民集13巻10号1251頁(離婚届出無効確認請求)
財産分与請求権を保全する債権者代位
離婚に伴う財産分与請求権は、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容が不確定・不明確であるから債権者代位権を行使して保全することはできないが、協議によって具体的内容が形成された後は、これを被保全債権とする債権者代位権の行使が認められる。
昭和55年7月11日最高裁第二小法廷民集34巻4号628頁(所有権確認等)
協議離婚の財産分与と相手方の有責性
協議上の離婚をした者の一方は、相手方が離婚につき有責でない場合であっても、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
過大な財産分与と詐害行為取消し
離婚に伴う財産分与は、民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のある場合には、詐害行為として取り消され得る。
昭和58年12月19日最高裁第二小法廷民集37巻10号1532頁(詐害行為取消)
配偶者死亡と姻族関係・復氏
夫婦の一方が死亡したときは、婚姻によって氏を改めた生存配偶者は姻族関係を終了させなくても婚姻前の氏に復することができる。
成年被後見人の協議離婚
成年被後見人が協議上の離婚をするには後見人の同意を要しない。
内縁配偶者の賃借権承継
内縁関係にある者が相手方の賃借したアパートで同居していた場合において、相手方が死亡してその者に相続人がいないときは、内縁配偶者はそのアパートの賃借人の権利義務を承継する(借地借家法36条1項)。
無断婚姻届と追認
一方が他方に無断で婚姻届を作成提出しても、届出当時に両者の夫婦としての実質的生活関係が存在し、他方が後に届出の事実を知って追認したときは、婚姻は届出当初に遡って有効となる。
昭和47年7月25日最高裁第三小法廷民集26巻6号1263頁(婚姻無効確認請求)
財産分与と扶養
離婚に伴う財産分与は、離婚後における一方の当事者の生計の維持を図ることを目的としてもすることができる。
昭和46年7月23日最高裁第二小法廷民集25巻5号805頁
財産分与と慰謝料請求
離婚に伴う財産分与を得た者は、その財産分与が損害賠償の要素を含む趣旨とは解されないときには、別個に不法行為を理由として離婚による慰謝料を請求することを妨げられない。
昭和46年7月23日最高裁第二小法廷民集25巻5号805頁