条文・判例・学説を体系的に整理
留置権の約定設定の可否
債権者は、債務者との合意によって先取特権の設定を受けることはできず、また、債務者との合意により留置権の設定を受けることもできない。
他人物売買解除の返金債権と所有者の留置
他人の物の売買における買主は、売主の履行不能による損害賠償債権(及び解除による代金返還請求権)を被担保債権として、所有者の目的物返還請求に対し留置権を主張することはできない(最判昭51.6.17)。
昭和51年6月17日最高裁第一小法廷民集30巻6号616頁(所有権移転登記抹消等請求)
留置権の成立要件
留置権は、担保されるべき債権の債権者が目的物を占有していなければ成立せず、その占有が不法行為によって始まった場合には成立しない。
留置権と弁済期
留置権は、担保されるべき債権が弁済期にあるときに限り成立する。
留置権の不可分性
留置権者は、留置権の目的物が第三者に譲渡された場合でも、目的物に関して生じた債権の全部の弁済を受けるまでは、当該第三者に対して留置権を主張することができる。
留置権と果実
留置権者は、留置物自体からは他の債権者に先立って弁済を受ける権利(優先弁済権)を有しないが、留置物から生じた果実は収取して他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充当することができる。
被担保債権譲渡と占有担保権の移転
担保物権には随伴性があり、被担保債権が譲渡されたときは担保物権も移転するのが原則であるが、物の占有を要件とする留置権(民法295条1項)・質権(同344条)は、債権の譲受人が必ずしも物を占有していないから、債権の譲渡だけでは当然には債権の譲受人に移転しない。
担保物権の物上代位性の有無
物上代位性(民法304条)は、先取特権・質権(350条)・抵当権(372条)には認められるが、留置権には認められない。
法定地上権と法定用益物権
法律の規定により当然に成立する物権として、留置権・先取特権などの法定担保物権のほか、法定地上権(民法388条)という法定の用益物権も存在する。