条文・判例・学説を体系的に整理
公害防止協定の事業廃止と廃棄物処理法
産業廃棄物の処分業者が、公害防止協定において、協定の相手方である町に対し、事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、廃棄物処理法の趣旨に反しない。
平成21年7月10日最高裁第二小法廷集民231号273頁(産業廃棄物最終処分場使用差止請求事件)
自治体の債務負担契約と議会の議決
普通地方公共団体の議会は、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結することを議決しなければならず、予算が議決されていれば足りるわけではない。
給水契約の申込み拒否の正当な理由
給水契約の申込みが適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、水道事業者は、水道法15条1項にいう「正当の理由」があるものとして、これを拒むことが許される。
平成11年1月21日最高裁第一小法廷民集53巻1号13頁(給水契約上の地位確認等)
地方公共団体の契約の一般競争入札原則
地方公共団体の契約は、一般競争入札を原則とし、指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。
随意契約制限違反の私法上の効力
地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約は、私法上当然に無効になるものではなく、随意契約によることができる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や、契約の相手方が随意契約の方法による締結が許されないことを知り又は知り得べかりし場合のように、無効としなければ制限規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になる。
昭和62年5月19日最高裁第三小法廷民集41巻4号687頁(売却処分無効確認等)
指定管理者の指定の処分性
地方自治法上の指定管理者の指定は、公の施設の管理権限を指定管理者に付与する行政処分であり、委託契約の形式で行われるものではない。
土地収用と随意契約の関係
公共事業に必要な用地を土地収用法に基づく収用裁決によって取得することができる場合であっても、土地所有者との合意に基づく任意買収(随意契約)によって取得することは許される。
義務付け契約と法律の根拠
国又は地方公共団体が相手方に新たな義務を課すことを内容とする契約を当該相手方と締結するに当たっては、当該義務付けは相手方の同意に基づくものであって権力的な権利侵害ではないから、侵害留保原則の適用はなく、原則として当該義務を課す法令上の根拠があることを要しない。
水道事業者の給水契約締結義務
水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から受けた給水契約の申込みを拒否するか否かを判断するに当たり、正常な企業努力を尽くしても水の供給に一定の限界があり得ることを考慮することが許される。
平成11年1月21日最高裁第一小法廷(給水拒否事件)
収用と任意買収の併存
起業者は、事業認定を申請し収用することが可能な土地についても、土地所有者と売買契約を締結して取得することができる。
随意契約制限違反と契約の効力
地方自治法及び地方自治法施行令に定める随意契約の制限に違反して締結された契約であっても私法上当然に無効になるものではない。
昭和62年5月19日最高裁第三小法廷民集41巻4号687頁(売却処分無効確認等)
指名競争入札における地元企業の考慮
地方公共団体が公共工事の指名競争入札に参加させる者を指名するに当たり、地元企業を優先する指名を行うことについては、その合理性を肯定することができる。
平成18年10月26日最高裁第一小法廷集民221号627頁(損害賠償請求事件)
水道料金と別荘の差別取扱い
水道事業を経営する地方公共団体が水道料金を定めるに当たり当該地方公共団体の住民基本台帳に記録されていない別荘に係る給水契約者とそれ以外の給水契約者との間で基本料金に差異を設けること自体が許されないわけではないが、合理的な理由なく著しい較差を設けることは地方自治法244条3項にいう不当な差別的取扱いに当たり許されない。
平成18年7月14日最高裁第二小法廷民集60巻6号2369頁(給水条例無効確認等請求事件)
公害防止協定の有効性
市町村は、処分業者との間で公害防止協定を締結し、法律又は条例に根拠がなくても、協定の定めにより処分業者に対し公害防止のための義務を課すことができる。
平成21年7月10日最高裁第二小法廷集民231号273頁(産業廃棄物最終処分場使用差止請求事件)
公害防止協定と廃棄物処理法
県が処分業者との間で公害防止協定を締結し、県知事が廃棄物処理法に基づいて行った許可が効力を有する期間内に事業や処理施設を廃止する義務を課すことも、同法に抵触しない。
平成21年7月10日最高裁第二小法廷集民231号273頁(産業廃棄物最終処分場使用差止請求事件)
協定違反と設置許可の撤回
産業廃棄物処理業者が公害防止協定の期限条項に違反して処理施設の使用を継続しても、そのことを理由として、県知事が廃棄物処理法に基づく処理施設の設置許可を撤回できることにはならない。
平成21年7月10日最高裁第二小法廷集民231号273頁(産業廃棄物最終処分場使用差止請求事件)