条文・判例・学説を体系的に整理
旧監獄法施行規則と委任の範囲
法律による委任に基づく命令(委任命令)が当該委任の範囲を超えて定められた場合には違法・無効となり、最高裁平成3年7月9日第三小法廷判決は、被勾留者と14歳未満の者との接見を原則として許さず例外的に監獄の長の裁量で許すとしていた旧監獄法施行規則120条(及び124条)について、原審のような限定的な解釈を施したとしてもなお旧監獄法50条の委任の範囲を超えた無効のものであると判断した。
平成3年7月9日最高裁第三小法廷民集45巻6号1049頁(被勾留者接見事件)
児童扶養手当法施行令と委任の逸脱
父から認知された婚姻外懐胎児童を児童扶養手当の支給対象から除外した児童扶養手当法施行令の規定は、児童扶養手当法による委任の範囲を逸脱したものとして違法無効と判断された。
平成14年1月31日最高裁第一小法廷民集56巻1号246頁(児童扶養手当資格喪失処分取消請求事件)
国家公務員の政治行為規制と人事院規則
国家公務員の政治的行為の禁止について、最高裁は、憲法の規定及び国家公務員法の委任の趣旨を踏まえて、人事院規則の規定を限定的に解釈した。
平成24年12月7日最高裁第二小法廷刑集66巻12号1722頁(世田谷事件)
委任立法の限界
法律の委任の範囲を超える省令は違法であり、行政庁に専門技術的な裁量があるとしても委任の趣旨を逸脱する規制を設けることは許されず、従前違法とされていなかった職業活動の自由を相当程度制約する規制を省令で定めるには、立法過程における議論もしんしゃくした上で、法律の諸規定から授権の趣旨が規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れることを要する。
平成25年1月11日最高裁第二小法廷民集67巻1号1頁(医薬品ネット販売事件)
法律の趣旨の解釈と立法過程の考慮
法律の規定の趣旨を考慮する際には、立法過程における議論を考慮することが許される。
平成25年1月11日最高裁第二小法廷民集67巻1号1頁(医薬品ネット販売事件)
省令の違法と憲法判断
省令が法律の委任の範囲を超えて違法である場合、裁判所は省令の違法を理由に判断し、直ちに憲法違反を判示するものではない。
平成25年1月11日最高裁第二小法廷民集67巻1号1頁(医薬品ネット販売事件)
許可基準を政令で定める委任規定
国民の権利義務に関わる許可の基準を政令で定めるには、法律の委任規定が必要である。
外国刀剣登録規則の文理解釈の委任逸脱
銃砲刀剣類登録規則4条2項が法の委任の範囲を超え無効であるとの主張は、法14条1項の文言上外国刀剣が除外されていないという文理解釈によるのが適切である。
銃刀法登録基準の文理解釈と委任の範囲
最判平2.2.1は、銃砲刀剣類登録規則4条2項が刀剣類の鑑定の基準を日本刀に限っていることについて、法14条1項の文言上は外国刀剣を除外していないとしつつ、鑑定基準には専門技術的な裁量が認められるとして、委任の趣旨を逸脱しないとした。
平成2年2月1日最高裁第一小法廷民集44巻2号369頁(刀剣登録拒否処分取消)
児童扶養手当施行令の趣旨解釈と委任
児童扶養手当法施行令1条の2第3号の括弧書が法の委任の範囲を超え無効であるかは、法の趣旨目的に適合するように委任規定を解釈して判断される。
平成14年1月31日最高裁第一小法廷民集56巻1号246頁(児童扶養手当資格喪失処分取消請求事件)
専門技術的裁量と委任の範囲の解釈
法律が政省令を定める行政庁に専門技術的な裁量を認めていることを重視して委任規定を解釈する主張は、政省令の制定者の判断を尊重する方向に働くから、政省令が法の委任の範囲を超え無効であるとの主張の根拠として適切でない。