条文・判例・学説を体系的に整理
天皇の「おことば」と象徴行為
「おことば」を象徴としての地位に基づく公的行為であると捉える見解については、象徴としての地位が天皇の一身専属のものであることを前提にすると天皇の権能を代行する摂政は「おことば」を述べることができないのではないかという問題点がある。
天皇の「おことば」と準国事行為説
天皇の「おことば」を国事行為に密接に関連する準国事行為と位置付ける場合にも、内閣の助言と承認に準ずる統制を及ぼす余地がある。
天皇の「おことば」と儀式行為説
天皇の「おことば」を憲法7条10号の「儀式を行ふ」に含める見解には、同号を儀式の主宰だけを意味すると解する限り文理上の難点がある。
納税義務と租税法規違反
憲法30条の納税義務は憲法上の義務であるがその具体的内容は法律によって定められるため、国民が税金を納付しない場合の法的責任は租税法規違反にとどまり直接に憲法違反が問われるものではない。
皇位継承の世襲の憲法要請と男系男子
憲法2条は皇位は世襲のものであると定めるにとどまり、男系男子による継承までは求めておらず、男系男子主義は皇室典範による選択である。
国事行為の委任と摂政の要件の区別
天皇は、法律の定めるところにより、国事に関する行為を委任することができ(憲法4条2項)、摂政は、皇室典範の定めるところにより置かれたときに天皇の名で国事行為を行う(憲法5条)のであって、国事行為の委任がされた場合に摂政が国事行為を行うのではない。
国事行為の認証の効力要件性の否定
国務大臣の任免等の認証(憲法7条5号)は天皇の国事行為であるが、認証はこれらの行為の効力要件ではなく、任免の行為は認証がなくても成立し効力を生じるとするのが通説である。
皇室の財産授受への国会議決
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない。
文理解釈の意義
文理解釈とは、条文の文言の辞書的意味や条文の文法的構造等に基づいて条文を解釈する方法である。
憲法改正発案権否定説と国会の審議権
憲法改正の発案権は内閣にはないとする説に対しては、発案権を内閣に認めても国会の意思決定に直ちに影響を及ぼすわけではなく、国会の自主的審議権が必然的に害されるものではない、との批判が成り立つ。
憲法改正の総議員法定数説と欠員の批判
憲法改正の発議に必要な各議院の総議員の3分の2以上の賛成における「総議員」を議員の法定数と解する説に対しては、欠員に相当する数を常に反対投票と同じに扱う点で合理性に欠けるとの批判が成り立つ。
憲法改正の有効投票説と無効票の扱い
書き損ない等で無効とされた投票をすべて反対投票と数えるのは不合理であるとの批判は、無効票を反対票と数えることになる説に向けたものであり、国民投票の「過半数」を有効投票の過半数と解する説に対する批判とはならない。
憲法改正限界説と根本規範
憲法改正の限界説は、憲法の妥当性の根拠を基本的人権の保障を含む根本規範に求め、この根本規範に反する改正は許されないとする。
自然法論的な憲法改正限界説
憲法改正の限界説は、憲法規範には実定化された自然法規範が含まれており、それは実定化されても自然法規範としての性質を失わないことを根拠の一つとする。
憲法改正無限界説の論拠
憲法規範中に価値序列や階層性を認めることはできないとする主張や、憲法制定時の規範・価値によって将来の世代を拘束するのは不当であるとする主張は、憲法改正の無限界説の論拠である。
憲法慣習の成立
硬性憲法の原則を重視する立場をとっても、憲法の空白を埋める事実が反復・継続された場合に、国家機関を政治的に拘束する憲法慣習の成立を認めることができる。
判例の法的拘束力と判例変更
判例が後の裁判を法的に拘束するという立場をとっても、最高裁判所は法律の合憲性に関する判例を変更することができ、最高裁判所には判例変更の制度がある。
憲法の法源の種類
憲法の法源は、成文の憲法典に限られず、憲法の習律(憲法慣習)など不文のものも問題とされる。
形式的意味の憲法と実質的意味の憲法
形式的意味の憲法とは憲法という名称を与えられた成文の法典すなわち憲法典を指し、これに対して実質的意味の憲法とはその存在形式のいかんを問わず内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
硬性憲法と軟性憲法
硬性憲法とは通常の法律より加重された手続によらなければ改正できない憲法をいい、改正手続に加重要件を設けるドイツ連邦共和国基本法は、改正回数が多くても硬性憲法に分類される。