条文・判例・学説を体系的に整理
特別予防論とその批判
特別予防論は、刑罰を犯罪防止の手段とし、その目的を、行為者の危険性に着目して、刑罰を科すことによって行為者が将来再び犯罪を行うのを予防することにあるとするが、刑罰と保安処分の区別がなくなってしまうとの批判がある。
一般予防論とその批判
一般予防論は、刑罰を犯罪防止の手段とし、その目的を、一般人を威嚇して、一般人による将来の犯罪を予防することにあるとするが、刑罰は重ければ重いほどよいということになってしまうとの批判がある。
相対的応報刑論
相対的応報刑論は、刑罰とは犯罪行為を理由とする非難として加えられる苦痛であるとしつつ、責任の範囲内で、特別予防や一般予防の目的にも配慮することができるとする見解である。
応報刑論と責任主義
応報刑論は、刑罰を、犯罪行為を理由に行為者に対する非難として加えられる苦痛と理解し、責任に応じた刑罰のみを正当化することで責任主義に沿って罪刑の均衡を図る見解であるが、犯罪予防のために必要な刑であっても責任に対応する刑を超える刑を科すことができなくなるとの批判がある。
応報刑論の意義
応報刑論は、刑罰を犯罪に対する非難を含む応報と捉え、正義の実現という観点から犯罪に対する反作用であること自体に正当化根拠を求める立場であり、自由な意思で犯罪を決意し実行した者の意思決定を回顧的に非難する点で非決定論(意思自由論)を前提とする。
相対的応報刑論の内容
相対的応報刑論は、刑罰の本質を応報に求めつつ、応報の範囲内で犯罪の予防という目的も追求する立場である。
没収の財産刑としての位置付け
没収は、罰金、科料と並ぶ財産刑の一種である。
目的刑論と犯罪予防
目的刑論は、刑罰を犯罪予防のための手段として正当化し、一般予防と特別予防に分かれる。
没収の主刑に付加する付加刑性
没収は、主刑を言い渡す場合に付加して言い渡すことができる付加刑である。
消極的一般予防論と威嚇
消極的一般予防論は、犯罪による快楽を上回る苦痛を刑罰として予告することで一般人に対する威嚇的効果を発揮し、犯罪を予防するという考え方である。
行使する偽造文書の犯罪組成物の没収
刑法19条1項1号の「犯罪行為を組成した物」にあたるものとして、偽造文書行使罪における偽造文書がある。
特別予防論の意義
特別予防論は刑罰の目的を行為者が将来再び犯罪を行うのを予防することに求める見解である。
殺人使用の包丁の犯罪供用物の没収
刑法19条1項2号の「犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物」にあたるものとして、殺人に使用された包丁がある。
一般予防論の意義
一般予防論は刑罰による威嚇を通じて一般人が犯罪を行うのを予防することを刑罰の目的とする見解である。
文書偽造で生じた文書の没収
刑法19条1項3号の「犯罪行為によって生じた物」にあたるものとして、文書偽造罪における偽造文書がある。
応報刑論の意義
応報刑論は犯罪を行った者が果たさなければならない応報としての制裁を刑罰の本質とする見解である。
賭博で得た金品の犯罪所得物の没収
刑法19条1項3号の「犯罪行為によって…得た物」にあたるものとして、賭博に勝って得た金品がある。
積極的一般予防論の意義
積極的一般予防論は処罰により行為者の行為が犯罪であると公的に確認され一般人が犯罪を行うのを予防することを刑罰の目的とする見解である。
追徴の没収不能時の換刑処分性
追徴は、没収が不能となった場合に認められる換刑処分(没収に代わる処分)である。
積極的一般予防論と自由意思
積極的一般予防論は自由意思の存在を認めない決定論を前提とするものではない。