条文・判例・学説を体系的に整理
砂川事件と条約の違憲審査
砂川事件判決は日米安全保障条約につき一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは裁判所の司法審査権の範囲外であるとしたが、同条約が高度の政治性を有することを理由としており条約であることを理由に違憲審査の対象外としたのではないことを踏まえると、条約について違憲審査の対象となり得るとの見解を採ったものと理解することもできる。
昭和34年12月16日最高裁大法廷刑集13巻13号3225頁(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法違反)
条約を前提とした国内法の審査
日米安全保障条約及び日米地位協定が違憲無効であることが一見極めて明白でない以上、裁判所としてはこれらが合憲であることを前提としてこれらの条約を履行するために制定されたいわゆる駐留軍用地特措法の合憲性を審査すべきである。
平成8年8月28日最高裁大法廷民集50巻7号1952頁(地方自治法一五一条の二第三項の規定に基づく職務執行命令裁判)
衆議院解散と司法審査
衆議院解散の効力をめぐる争いは、直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為であり、議員歳費請求のように前提問題として解散の効力が争われる場合であっても、裁判所の審査権の外にあると解すべきである。
昭和35年6月8日最高裁大法廷民集14巻7号1206頁(衆議院議員資格並びに歳費請求)
衆議院解散と司法審査
衆議院の解散に対する有効無効の判断は、たとえ法律上可能であっても裁判所の審査権の外にあり、主権者たる国民に対して政治的責任を負う政府、国会等の政治部門に任され、最終的には国民の政治判断に委ねられている。
昭和35年6月8日最高裁大法廷民集14巻7号1206頁(衆議院議員資格並びに歳費請求)
砂川事件と条約の違憲審査対象性
砂川事件判決は、高度の政治性を有する条約は一見極めて明白に違憲無効と認められない限り司法審査権の範囲外とするもので、条約そのものについて一般的に違憲審査の対象となるとする立場と結び付き得る。
昭和34年12月16日最高裁大法廷刑集13巻13号3225頁(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法違反)
厚木基地訴訟の民事差止めの不適法性
最高裁は、自衛隊機の離着陸等の民事上の差止請求を、防衛庁長官にゆだねられた権限の行使の取消変更等を求める請求を包含するとして不適法としたのであり、高度に政治的な問題として司法審査になじまず法律上の争訟に当たらないと判示したものではない(最判平5.2.25)。
平成5年2月25日最高裁第一小法廷民集47巻2号643頁(航空機発着差止等)
砂川事件における自衛戦力の判断範囲
砂川事件判決は、憲法9条2項がいわゆる自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別として、同項がその保持を禁止した戦力とはわが国自体の戦力を指すとしたにとどまり、自衛のための戦力の保持を禁じているか否か(9条2項が一義的に明確な規定か否か)について判断していない。
昭和34年12月16日最高裁大法廷刑集13巻13号3225頁(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法違反)