第12問配点 3点
民衆(people)に関する記述として明らかな誤りを含むものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№12])
1. プラトンは,『国家』で,理想の国制から逸脱した国制の一つとして民主制を取り上げた。民主制の下で人々は,自由を放縦とはき違え,無秩序状態を生み出すと彼は説く。そこには「民衆とは何か」をめぐる,社会学的関心の萌芽が認められる。
2. ルソーは,『社会契約論』で,一般意志という概念を提示した。彼によれば一般意志は,人民の「個別の利益の総和」にして,多数決の原理によって把握されるものである。そこでは,人民は個別の利益を追求する存在として位置付けられている。
3. ル・ボンが,『群衆心理』(1895 年)で,群衆(crowd)の概念を提示したのを受けて,タルドは,『世論と群衆』(1901 年)で,公衆(public)の概念を提示した。タルドは,同時代的に,公衆が新聞などを媒介として世論を形成していることに注目した。
4. オルテガは,『大衆の反逆』(1930 年)で,大衆(mass)の概念を提示した。そこでは,大衆は質的な概念として規定されている。すなわち,オルテガは,「凡庸な人々」が社会的権力を奪取しようとしていることを「大衆の反逆」として批判している。
5. 新しいメディアの登場が新しい民衆の範疇を生み出すという事態は,これまで度々観察されてきた。ネット社会に主体的に参画する人々という意味で,ネチズンという言葉が使われ出している。しかしネチズンの様態は,今もって判然としない。