条文・判例・学説を体系的に整理
特別上告と判決の確定の遮断
高等裁判所が上告審としてした終局判決に対する特別上告(327条)の提起は、判決の確定を遮断しない。
飛越上告の原判決の確定事実の拘束
第一審の終局判決の言渡し後に、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をし、直ちに上告がされた場合(飛越上告)には、上告裁判所は、職権調査事項を除き、事実の確定が法律に違反したことを理由として、原判決を破棄することができない。
判決不関与裁判官の署名と破棄の弁論
上告裁判所は、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることを理由として原判決を破棄し、事件を原審に差し戻す判決をする場合には、口頭弁論を経ないですることができる。
平成19年1月16日最高裁第三小法廷集民223号1頁(損害賠償等請求事件)
最高裁の上告受理申立ての受理決定
最高裁判所は、法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができ、上告を棄却すべきものと認めるときでも受理の決定をすることができる。
最高裁判所の法令違反を理由とする破棄
上告裁判所である最高裁判所は、312条1項又は2項に規定する事由がない場合であっても、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原判決を破棄することができる。
上告審の口頭弁論なき訴え却下判決
上告裁判所は、不適法でその不備を補正することができない訴えについてなされた原審の本案判決を破棄して、訴えを却下する判決をする場合には、口頭弁論を経ないですることができる。
弁論に関与しない裁判官の判決と上告
判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がしなければならず(直接主義)、これに反して判決裁判所が構成されたことは、法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと(312条2項1号)として上告理由となる。
原裁判所の上告受理申立て却下の範囲
原裁判所が上告受理の申立てを決定で却下することができるのは、申立てが不適法で不備を補正できない場合等(316条1項)に限られ、申立てに係る事件が法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件に当たらないことを理由として却下することはできない。
上告審の職権調査事項の事実判断の拘束
上告裁判所が破棄の理由とした事実上及び法律上の判断は、差戻し又は移送を受けた裁判所を拘束し、職権調査事項について上告裁判所がした事実上の判断もこれに含まれる。
特別抗告
高等裁判所が再抗告についてした決定に対しては、その決定が憲法に違反することを理由として、特別抗告をすることができる。
許可抗告の不許可と最高裁への抗告
高等裁判所がその決定に対する許可抗告の申立てについて抗告を許可しなかった場合には、最高裁判所は当該抗告を受理することができない。
民事訴訟の上告理由
上告は、憲法違反のほか、民事訴訟法312条2項所定の絶対的上告理由があるときにもすることができるが、最高裁判所にする上告では単なる法令違反は上告理由とならず、判例違反その他法令の解釈に関する重要な事項を含む事件が上告受理の申立て(318条1項)の対象となる。
弁論更新手続の欠如と上告理由
弁論の更新手続をしないままされた判決は、法律に従って判決裁判所を構成しなかったものとして、最高裁判所に対する上告の理由となる。
昭和33年11月4日最高裁第三小法廷民集12巻15号3247頁(土地所有権確認請求)
上告理由の範囲
最高裁判所への上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反がある場合のほか、重大な手続違反(絶対的上告理由)がある場合に限り許され、高等裁判所への上告は、これらのほか判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある場合にも許される。
附帯上告受理申立て
上告受理の申立てに対して附帯上告をし、又は上告に対して附帯上告受理の申立てをすることはできない。
平成11年4月23日最高裁第二小法廷集民193号253頁(上告受理の申立てに対する附帯上告の提起又は上告に対する附帯上告受理の申立ての許否)
上告受理決定と理由の排除
最高裁判所は、上告受理決定をする場合であっても、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
上告棄却の口頭弁論なし判決
上告裁判所が、上告状、上告理由書、答弁書その他の書類を調査して上告に理由がないと判断したときは、口頭弁論を開かずに、上告棄却の判決をすることができる。
上告理由外の法令違反と破棄
最高裁判所は、上告理由や上告受理の申立ての理由において上告人が主張していなくても、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反が認められる場合には、職権で原判決を破棄することができる。
最高裁への上告理由
最高裁への上告は、憲法違反等のほか、判決裁判所の構成違法や理由不備等の絶対的上告理由も認められる。
理由の食違いと絶対的上告理由
判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあることは、絶対的上告理由に当たる。