2026年 司法試験 論文式 環境法 第1問
問題
配点 50点[環 境 法]
〔第1問〕(配点:50)
A社は、B県C市の区域内において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)に基づき、一般廃棄物及び産業廃棄物の最終処分場(以下「本件処分場」という。)を設置し、一般廃棄物処分業及び産業廃棄物処分業を営んできた。B県外の自治体であるD市は、数年来、D市の区域内で生じた一般廃棄物について、A社に委託して、本件処分場において処分していた。また、E社をはじめとする複数の事業者(以下「E社等」という。)が、自らの事業活動に伴って生じた廃棄物の処分をA社に委託してきた。D市及びE社等がA社に支払った処分料金は一般的な処分料金の半値以下であった。この場合において、以下の設問に答えなさい。
〔設問1〕
B県及びC市は、本件処分場に、許可された埋立容量を超える大量の廃棄物が搬入されているとの通報を受けた。B県知事及びC市長は、廃掃法に基づき、本件処分場の状況を知るためにどのような対応を採ることができるか説明しなさい。
〔設問2〕
B県知事及びC市長が〔設問1〕の対応を採ったところ、本件処分場に許可された埋立容量を超える大量の廃棄物が搬入されていることが分かった。また、本件処分場周辺の河川(以下「本件河川」という。)において、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の対象物質が、基準値を超えて検出された。B県及びC市が調査を行った結果、本件処分場からの浸出水が本件河川に流入していることが原因であり、さらに、本件処分場の周辺の地下水からも当該物質が基準値を超えて検出された。本件処分場の周辺住民は、本件河川水及び地下水を生活用水や農業用水として利用している。
B県知事及びC市長は、A社に対し、廃掃法に基づき、どのような対応を採るべきか、複数の選択肢を挙げて論じなさい。
〔設問3〕
B県知事及びC市長がA社に対して〔設問2〕の対応を採る前に、A社が破産手続開始決定を受けた。その後、本件処分場からの浸出水の本件河川への流入量が増加したことを受けて、B県知事及びC市長は、緊急に本件河川の汚染防止措置を講じる必要があると認め、廃掃法に基づき、自ら汚染防止措置を講じた。
⑴ B県知事は、廃掃法に基づき、自らが講じた汚染防止措置に要した費用をE社等に負担させることができるか論じなさい。
⑵ C市は、自らが講じた汚染防止措置に要した費用の一部として、D市がA社に本件処分場での処分を委託した一般廃棄物の量に応じた額を支払うよう、D市に対して事務管理に基づく費用償還請求を行った。しかし、D市は、D市の区域外にある本件処分場において、汚染防止措置を講ずる法的義務をD市が負うことを具体的に定める法令の規定はない旨主張した。これに対して、C市はどのような反論をすることが考えられるか、【資料】も参照しつつ、論じなさい。
〔設問4〕
A社による廃棄物不適正処分をめぐる一連の問題を受け、C市は、廃棄物問題への取組として、C市の区域内の家庭ごみ(いわゆる家庭系一般廃棄物)を排出する者は、C市の指定する有料のごみ袋を使用しなければならないことを条例で定めた。家庭系一般廃棄物の処理を有料化することの背景にある考え方と効果について、いわゆる事業系一般廃棄物の場合と比較しつつ、論じなさい。
【資 料】
〇 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)(抜粋)
(一般廃棄物の収集、運搬、処分等の委託の基準)
第4条 法第6条の2第2項の規定による市町村が一般廃棄物の収集、運搬又は処分(再生を含む。)を市町村以外の者に委託する場合の基準は、次のとおりとする。
一〜八 (略)
九 第7号の規定に基づき指定された一般廃棄物の処分又は再生の場所(中略)が当該処分又は再生を委託した市町村以外の市町村の区域内にあるときは、次によること。
イ 当該処分又は再生の場所がその区域内に含まれる市町村に対し、あらかじめ、次の事項を通知すること。
⑴ 処分又は再生の場所の所在地(埋立処分を委託する場合にあつては、埋立地の所在地、面積及び残余の埋立容量)
⑵ 受託者(中略)の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては代表者の氏名
⑶、⑷ (略)
ロ 一般廃棄物の処分又は再生を一年以上にわたり継続して委託するときは、当該委託に係る処分又は再生の実施の状況を環境省令で定めるところにより確認すること。
〇 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)(抜粋)
(一般廃棄物の処分又は再生の状況の確認)
第1条の8 令第4条第9号ロの規定による確認は、一年に一回以上、実地に行うものとする。
出典:法務省「2026年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。