2026年 司法試験 論文式 知的財産法 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
小説家Xの最新小説Pは、主人公の高校教師Aが孤独な人生の旅を続けるという短編であるが、壮年世代の寂寥感にマッチしたのか、出版後、当該世代から密かな注目を浴びた。なお、Pには、Aの外見に関して、長髪に丸眼鏡をかけた長身男性で、いつも袴を履いている旨の記述がある。
以上の事実関係を前提として、以下の設問に答えなさい。
〔設問1〕
Y1は、高校の英語教師を定年退職後、毎週日曜の昼下がりに公民館の一室を借りて、元同僚数名とともに「Sunday寺子屋」と称する教室を開き、在留外国人に日本語を教えている。この教室では登録すれば誰でも会員としてレッスンを受講でき、毎回5〜10人の外国人が参加している。Y1らは、このレッスンで、文法を教えるために様々な日本語小説を選び、①当該小説から数行を英訳した上で、日本語原文と当該英訳の両方をスクリーンに投影するとともに、②当該小説からそのまま抜き出した数段落を素材とした文法クイズを作成し、これをレッスンの最後に行う到達度確認テストとして全員に配布している。なお、この教室でY1らはレッスン料を取っていないものの、公民館の部屋代として参加者から毎回一人200円を徴収している。
この教室でY1が近くPを取り上げる予定であることを聞き知ったXは、著作権に基づき、Y1がPについて上記①②の行為をすることをやめさせたいと考えている。
Xは、Y1に対してどのような主張をすべきか。これに対するY1の反論として、どのような主張が考えられるか。それらの妥当性についても論じなさい。
〔設問2〕
Pの魅力に目を付けたテレビ局B社は、Xの許諾を得て、Pをドラマ化したQを制作し、これを放送した。もっとも、Pは、Aが一人バーで酒を飲むという物悲しいシーンで終わっており、これではテレビ離れが進む若者の心をつかめないと判断されたため、Qのラストシーンは、Pには登場しない女性がAを見つめる表情を大写しにした映像で幕を閉じている。それが功を奏したのか、Qは大きな話題になり、Pも全世代に売れるようになった。
この放送を見たY2社は、B社の許諾を得て、③Qの当該ラストシーンをスクリーンショットした画像をTシャツに印刷して販売するとともに、④Qの中で俳優が演じているAの外見(長髪に丸眼鏡をかけた長身男性で、いつも袴を履いている)をイラスト化したものに「A」の名称を付した画像RをスマートフォンでダウンロードできるSNS(ソーシャルネットワークサービス)スタンプ画像としてオンライン販売している。これを見たXは驚き、著作権に基づき、Y2社が上記③④の行為をすることをやめさせたいと考えている。
Xは、Y2社に対してどのような主張をすべきか。これに対するY2社の反論として、どのような主張が考えられるか。それらの妥当性についても論じなさい。
出典:法務省「2026年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。