2025年 司法試験 論文式 知的財産法 第1問
問題
配点 50点[知的財産法]
〔第1問〕(配点:50)
農薬の製造販売を業とするXは、農薬取締法所定の審査・登録を要する農薬の発明について日本特許権(以下「本件特許権1」という。)を有しており、この特許発明の実施品である農薬Pを製造販売している。
Xは、本件特許権1のほか、農薬等の作物残留試験を行うための検査・実験装置の発明について日本特許権(以下「本件特許権2」という。)とこれに対応するA国特許権を有している。Xは、この特許発明の実施品である装置Qを、農薬の作物残留問題に関心の高いA国でのみ先行して市場投入することとした。XのA国子会社Zは、Xの許諾の下、装置QをA国でのみ製造販売している。Zは、Xの指示で、「当社の全製品のA国外への無断輸出及びA国外での無断使用を禁じる」旨の表示を、製品それ自体には表示することなく、Zのウェブサイトにのみ掲載した。
農薬の製造販売を業とするY1は、農薬Pと有効成分等を全て同じくする農薬Rを本件特許権1の存続期間経過後に製造販売する計画の下、農薬取締法所定の審査・登録を受けるために必要な試験を外部の機関に依頼することとした。Y1は、この試験のために、本件特許権1の存続期間中に農薬Rを生産した(以下「行為①」という。)上で、その作物残留試験を研究所Y2に依頼した。Y2は、A国でZから購入した者から転得した最新の装置Qを日本に輸入し、これを農薬Rの作物残留試験に使用した(以下「行為②」という。)。
その後、農薬取締法所定の審査の結果、Y1は農薬Rについて登録を受けた。Y1は、本件特許権1の存続期間中であったため、農薬Rの販売のための製造こそ開始していないものの、農薬Pを購入している業者に対し、「本件特許権1の存続期間経過後に農薬Rを販売する」旨を、本件特許権1の存続期間中に申し出た(以下「行為③」という。)。
そこで、Xは、
⑴ Y1に対し、行為①について、本件特許権1の侵害を理由に、
⑵ Y2に対し、行為②について、本件特許権2の侵害を理由に、
⑶ Y1に対し、行為③について、本件特許権1の侵害を理由に、
それぞれ損害賠償請求をした。
以上の事実関係を前提として、以下の設問に答えなさい。なお、損害額について論じる必要はない。また、農薬取締法固有の問題についても論じる必要はない。
[設 問]
Xは、⑴⑵⑶において、それぞれ、どのような主張をすべきか。これに対するY1又はY2の反論として、どのような主張が考えられるか。それらの妥当性についても論じなさい。
出典:法務省「2025年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。