2024年 司法試験 論文式 知的財産法 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
A市は、だれでも自由に入れる公園に図書館を建築することとし、その建物の設計を建築家Bに依頼した。Bは、過去から未来に絶えず発展していくA市を表すものとして、正面から見ると、曲面状となっている屋根が右方向に上がって、その右端が大きく横に飛び出し、外壁が曲面状の屋根と連続する曲面であることに特徴を有する斬新な建物を設計し、その設計どおりに図書館(以下「A図書館」という。)が建築された。A図書館の入口を入るとすぐ大きな玄関ホールがあり、その奥の壁には、A市出身の画家Cの代表作として有名で、A市にある山(以下「A山」という。)の風景を独特の色彩で描いた大きな絵画αが展示されていた。以上の事実関係を前提として、以下の設問に答えなさい。
[設問1]
A図書館の近くで土産物を販売するDは、自らの店舗の外壁の一部や屋根をA図書館の外壁や屋根と同じ形に改築した。
Dの上記行為がBの著作権を侵害するかについて論じなさい。
[設問2]
Dは、絵はがき製作のためにA図書館を正面から撮影し、その写真に基づく絵はがきβを多数枚印刷した上で、これを販売している。絵はがきβは、その5分の3程度にA図書館が写っているというものであり、青空を背景として、その特徴的な屋根や外壁の形が明瞭に判別できた。また、撮影当時、A図書館の入口の大きな扉が開いていて、A図書館の正面から撮影したために、玄関ホールの奥の壁に展示されている絵画αが、その独特の色彩によりA山を描いたCの代表作であることが分かる程度に小さく写っていた。なお、A図書館の入口の扉は、A図書館の開館時間中は常に開いていた。
⑴ BはDに対し、著作権侵害を理由としてどのような請求をすることが考えられるか。その妥当性についても論じなさい。
⑵ Cは、Dが販売する絵はがきβに絵画αが写っていることが問題であると考えた。CはDに対し、著作権侵害を理由として絵はがきβの販売をやめるよう求める訴訟を提起した。同訴訟において、Cはどのような主張をすべきか。それに対し、Dは、どのような主張をすることが考えられるか。それらの妥当性についても論じなさい。
[設問3]
A図書館が建築されて10年経ち、現在のA市の市長は、A図書館の屋根が奇抜すぎると考え、A市は、A図書館の屋根のうち大きく横に飛び出している部分のみを撤去する工事を計画している。Bは、この計画に反対し、この工事を阻止したいと考えている。Bは、A市に対し、著作権法上どのような請求をすることが考えられるか。その妥当性についても論じなさい。
出典:法務省「2024年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。