2021年 司法試験 論文式 環境法 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
建設業を営み,P県知事から,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)に基づく産業廃棄物の収集運搬業及び処分業の許可を受けているA社は,総合建設業を営むB社から,B社が元請業者(同法第21条の3第1項にいう「元請業者」である。)となる甲病院新築工事のうち,下請負人として,基礎工事の施工を受注した。A社は,同工事において地下を掘削したところ,予定地に従前建っていた建物の地中梁が残っていることを発見した。A社は,B社との間で,別途,地中梁を破砕して解体する処理について,書面による委託契約を締結し,その際,B社は,この処理によって発生するコンクリート破片の標準的な処理費用の3分の1を負担することとされた。
A社は,上記により発生したコンクリート破片の処理を,P県知事から,廃掃法に基づく産業廃棄物の収集運搬業及び処分業の許可を受けているC社に対し,書面により再委託し,その費用を支払った(この再委託は,同法第14条第16項ただし書の適用により,同項本文が規定する再委託の禁止に抵触しないものとする。)。C社は,上記コンクリート破片を,甲病院新築工事現場から搬出し,乙地区の住宅地に接するC社所有の山林に運搬して,何らの囲いをせず,産業廃棄物処理基準に違反する状態で野積みした。その結果,野積みされた上記コンクリート破片が乙地区の住宅地へ崩れる危険が発生した。その後,C社の経営状況は悪化した。
なお,上記の経緯において,産業廃棄物管理票は,適法に作成・交付されていたこととする。
本件設例に表れた事実関係及び【資料】に基づき,以下の設問に答えなさい。なお,設問はいずれも独立したものである。
〔設問1〕
⑴ 本件設例において,P県知事は,C社に対する産業廃棄物の収集運搬業及び処分業の許可の取消しをしない場合,廃掃法上,①B社及びC社に対し,どのような理由で,どのような措置を講ずることができるか,②上記①の措置を講ずる前に,乙地区の住宅地へ前記コンクリート破片の小規模な崩落が生じ始め,その拡大の兆候が現れていた場合に,どのような措置が考えられるか,それぞれ説明しなさい。
なお,上記①及び②の検討に当たっては,廃掃法第21条の3第1項によりB社のみを「事業者」とすればよく,同条第2項ないし第4項の適用については,検討を要しない。
⑵ 本件設例において,P県知事は,C社に対する産業廃棄物の収集運搬業及び処分業の許可の取消しをした場合,その後,廃掃法上,C社に対し,どのような理由で,どのような措置を講ずることができるか,説明しなさい。
〔設問2〕
乙地区に土地建物を所有し,そこに以前から居住するDは,C社及びP県に対して,どのような法的請求が可能か,論じなさい。
【資 料】
○ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)(抜粋)
(産業廃棄物)
第2条 法第2条第4項第1号の政令で定める廃棄物は,次のとおりとする。
一~八 (略)
九 工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
(以下,略)
出典:法務省「2021年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。