司法試験論文式過去問演習

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2017年 司法試験 論文式 環境法 第2問

問題

配点 50点

〔第2問〕(配点:50)

広域で飲食店事業を展開しているA株式会社では,鮮度が落ちて調理に適しなくなった生鮮食品や利用客の食べ残した食品を廃棄物処理業者に外部委託して焼却処分しているが,その委託量を節減することが全社的な課題となっている。

そのため,各店舗から節減の案ないし実例を募集したところ,甲店,乙店及び丙店から以下のような内容の応募があった。

甲店「利用客がそれぞれ自分の好きな料理を自由に選べるバイキング方式を導入したい。食材別の仕入れ量の管理がしやすくなる上に,利用客の食べ残しも減り,廃棄食品を相当量減らすことができるものと見込まれる。」

乙店「乙店では,生鮮野菜を仕入れている契約農家Bから,廃棄することとなる食品を堆肥の原料として譲ってもらいたいとの申入れがある。譲ってもらえるのであれば,乙店への生鮮野菜の卸値を割り引くと言っており,廃棄物処理の外部委託費用ばかりか仕入原価も節減できるのであるから,こんなに良い話はない。」

丙店「丙店は複合商業施設ビルに出店しているが,同ビルでは,入居テナント向けに共同利用の厨芥物(生ごみ)処理設備が提供されている。設備に生ごみを投入すると,発酵処理されて相当部分がバイオガスとなり,ビル内の電力源として用いられるという仕組みであり,一部は廃棄物として残るものの,施設ビル全体からの排出量は大幅に減るというものである。設備利用及び電力利用のための負担金は支払わなければならないが,これに廃棄物の処理を共同で外部委託する費用の分担金を加えても,丙店から出る廃棄食品の全量の処理をそのまま外部に委託するよりも,全体として廉価となっている。」

この場合において,【資料】を参照しつつ,以下の各設問に答えよ。

〔設問1〕

甲店,乙店及び丙店から応募のあった案ないし実例は,循環型社会形成推進基本法上の基本原則を踏まえて見た場合,それぞれどのような点において優れていると言えるか,関係条文に触れつつ,説明せよ。

〔設問2〕

A株式会社の取締役会において,甲店,乙店及び丙店から応募のあった内容の当否及び有用性が議事に諮られたところ,取締役Cから,「乙店の提案は,他店でも容易にできることであり積極的に推進していくべきである。」との意見が述べられた。

あなたがA株式会社のいわゆる社外取締役である弁護士だとして,法的観点から見たCの意見の問題点を,その理由及び当該問題点が解消されるための条件を述べつつ,説明せよ。

〔設問3〕

結局,乙店は,B及び肥料製造会社であるD株式会社との間で,乙店の廃棄食品をD株式会社で堆肥として精製し,これをBが利用して生産された生鮮野菜を乙店が仕入食材として用いるという枠組みを合意し,これが実行に移された。

乙店,B及びD株式会社にとって,このような枠組みを合意し,実行することによって,それぞれ循環型社会形成推進基本法上の事業者の責務をどのように果たしていることになるか,関係条文に触れつつ,説明せよ。

【資 料】

○ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)(抜粋)

(産業廃棄物)

第2条 法第2条第4項第1号の政令で定める廃棄物は,次のとおりとする。

一 紙くず (以下略)

二 木くず (以下略)

三 繊維くず (以下略)

四 食料品製造業,医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物

四の二 と畜場法(昭和28年法律第114号)第3条第2項に規定すると畜場においてとさつし,又は解体した同条第1項に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成2年法律第70号)第2条第6号に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第1号に規定する食鳥に係る固形状の不要物

五 ゴムくず

六 金属くず

七 ガラスくず,コンクリートくず(工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及び陶磁器くず

八 鉱さい

九 工作物の新築,改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物

十 動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。)

十一 動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)

十二 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第2条第2項に規定するばい煙発生施設,ダイオキシン類対策特別措置法第2条第2項に規定する特定施設(中略)又は次に掲げる廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであつて,集じん施設によつて集められたもの

イ~ト (略)

十三 燃え殻,汚泥,廃油,廃酸,廃アルカリ,廃プラスチック類,前各号に掲げる廃棄物(第1号から第3号まで,第5号から第9号まで及び前号に掲げる廃棄物にあつては,事業活動に伴つて生じたものに限る。)又は法第2条第4項第2号に掲げる廃棄物を処分するために処理したものであつて,これらの廃棄物に該当しないもの

出典:法務省「2017年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。