2016年 司法試験 論文式 国際関係法(私法系) 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
旅行業を営む日本法人Y1会社は,甲国への旅行者が現地で必要とする各種サービスを円滑に提供するため,Y1会社全額出資の乙国法人Y2会社を甲国に隣接する乙国に設立した。Y2会社代表者はY1会社代表者と同一人である。Y2会社は乙国内にあるビルの一室を賃借して本店兼事務所としているが,さしたる資産はなく,事務を処理する日本人従業員1名がY1会社から出向し常駐するのみである。Y1会社が日本で募集した甲国への旅行者が甲国内で必要とするサービスを手配するため,Y2会社は甲国法人X会社と包括的業務委託契約(以下「本件契約」という。)を締結した。本件契約では,①Y1会社が募集した旅行者のためにX会社が甲国内での各種サービス(交通,食事,宿泊等)を手配し,かつ,X会社が現地(甲国)のサービス提供者に現地通貨で立替払すること,②X会社及びY2会社の了解のもとにX会社のY2会社に対する請求書をX会社がY1会社に直接送付すること,③毎月末を支払期限とするY2会社の債務(立替金及びX会社の報酬の甲国通貨による支払)の履行地をX会社の主たる営業所(甲国)とすること,④本件契約の準拠法を日本法とすること等が定められていたが,国際裁判管轄権に関する合意はなかった。
Y2会社が本件契約に基づく立替金及び報酬のX会社への支払を怠ったため,X会社は,Y2会社に対して本件契約に基づく金員の支払を求めるとともに,Y1会社に対しても,Y1会社とY2会社とは実質的に同一会社であり,Y2会社の法人格はY1会社との関係で否認されるべきであるとして,本件契約に基づく金員の支払を求める訴えを日本の裁判所に提起した。
〔設 問〕
1.日本の裁判所はY1会社及びY2会社に対するX会社の訴えにつき,国際裁判管轄権を有するか。ただし,民事訴訟法第3条の9の規定の適用はないものとする。
2.Y1会社がX会社に対して本件契約に基づく債務を負うか否かについては,いずれの国の法が適用されるか。
3.X会社がY1会社に対して本件契約に基づく金員の支払を甲国通貨で求めた場合において,Y1会社が日本円で弁済する権利を有するか否かについては,いずれの国の法が適用されるか。
出典:法務省「2016年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。