司法試験論文式過去問演習

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2014年 司法試験 論文式 労働法 第2問

問題

配点 50点

〔第2問〕(配点:50)

労働組合法における「労働者」の概念につき,労働基準法におけるそれとの異同に言及しつつ概説した上,次の事例の甲が,労働組合法における「労働者」に該当するかについて論じなさい。

なお,A社による団体交渉拒否の適法性について論じる必要はない。

【事 例】

1⑴ A社は,コピー機等ビジネス事務設備機器の販売及び修理補修等を業とする株式会社である。甲は,A社と業務委託契約を締結してビジネス事務機器の修理補修等の業務に従事する「カスタマーサポーター」(以下「CS」という。)であり,CSを構成員とするB労働組合に加入している。

⑵ A社とCSは,A社が作成した「業務委託に関する覚書」と題する文書に記載した内容で業務委託契約を締結しており,同覚書には,A社とCSとがそれぞれ独立した事業者であることを認識した上で契約を遂行する旨の条項がある。A社における修理補修等の業務の大部分は,総勢約600名のCSによって行われている。

2⑴ A社は,顧客からの修理補修等の発注を修理受付センターで受け付けた後,顧客の所在場所を担当するCSに割り振って業務を依頼する。CSは,原則として,業務日の午前8時半から午後7時までの間にA社から発注依頼連絡を受ける。依頼を受けたCSがこれを応諾した場合には,当該CSが修理補修等を遂行するが,当該CSが依頼を断った場合には,A社は他のCSに依頼している。CSが応諾を拒否する割合は1%に過ぎないが,一方,CSが応諾を拒否した理由が,業務の遂行とは無関係の事情によるものであったとしても,A社がそれを理由に業務委託契約の債務不履行であると判断することはない。また,CSが独自に営業活動を行って修理補修等を行うことも認められている。

⑵ A社とCSとの間の業務委託契約は,前記覚書によって規律され,その内容をCSの側で変更した事例はない。また,A社は,全国で一定水準以上の技術による確実な事務の遂行に資するため,CSに対し,修理補修等の作業手順,CSとしての心構えや役割,接客態度等を記載した各種マニュアルを配布し,これに基づく業務の遂行を求めている。一方,委託された業務をどの時間帯に,いかなる方法で行うかについては,CSの裁量に委ねられている。

⑶ A社は,ランキング制度を設け,毎年1回,CSを能力,実績及び経験を基に評価し,5段階ある級の昇格,更新及び降格の判定を行っている。また,A社は,CSを全国の担当地域に配置して修理補修等の業務に対応させ,CSと調整しつつその業務日や休日を指定し,日曜日や祝日についても交替で業務を担当するよう要請している。

3 CSは,修理補修等の業務が終了した後,顧客から代金を回収し,週1回程度の割合でA社に振込送金するほか,業務日ごとに行動予定,経過,結果等をA社に報告している。

顧客に対する請求金額は,A社が,商品や修理内容に従ってあらかじめ全国一律で決定するが,CSは,修理補修等の難易度や別のCSを補助者として使用したことなどを理由に,その裁量によって,ある程度割増しして顧客に請求することが認められている。

A社がCSに支払う業務委託手数料は,CSが顧客に請求する金額に,A社の前記ランキング制度における当該CSの属する級ごとに定められた一定率を乗ずる方法で支払われている。

過去1年間のCSの作業時間は,1件平均約70分,1日平均計3.7時間であり,A社からの平均依頼件数は月113件,平均休日取得日数は月5.8日であった。

4 B労働組合が,A社に対して,業務委託条件を変更する場合にはB労働組合と協議することや,最低年収額の保障を求めて団体交渉を申し入れたところ,A社は,甲らCSは労働組合法上の労働者に当たらないとして団体交渉を拒否した。

出典:法務省「2014年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。