2011年 司法試験 論文式 租税法 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
個人で建築業を営むAは,商品先物取引業者であるB社の営業員Cから「必ず儲かる。」と勧誘を受けて,Cに言われるままに,商品先物取引を開始した。当該商品先物取引は,将来の一定の時期に商品を受渡しすることを約束して,その価格を現時点で決める取引であり,約束の期日が来る前にいつでも反対の売買をすることで「売り」と「買い」の契約を相殺し,その差額を清算して取引を終了することができる取引(差金決済取引)である。Aは,数回の取引をして決済したところ,平成21年中に,2000万円の売買差益を得たので取引を止め,B社に手数料合計500万円を支払った。Aは,これ以上の取引を望まなかったが,Cから更に強く勧誘されて,平成22年も更に数回の取引をしたところ,同年中に3000万円の売買差損を生じたことから,B社に手数料合計500万円を支払って,B社を介した商品先物取引を終了した。Aは,平成23年に着手金30万円を支払って弁護士Dに依頼し,B社に対し,不法行為に基づく損害賠償訴訟を提起したところ,裁判所は,同年中にCの勧誘につきB社の不法行為成立を認めた上で,弁護士費用を含む損害賠償金200万円及び遅延損害金の支払をB社に命じる判決を下し,判決は確定した。B社は,判決に従い,直ちに220万円(遅延損害金20万円を含む。)をAに支払った。また,Aは,あらかじめ約していた報酬40万円をDに支払った。なお,平成21年,同22年,同23年とも,Aは建築業でそれぞれ3000万円の所得を得ていた。
以上の事案について,以下の設問に答えなさい。なお,租税特別措置法については考えなくてよい。
〔設問1〕
1.Aが商品先物取引によって平成21年中に得た売買差益2000万円の所得の種類はどのようになるか。
2.平成21年中にAが支払った手数料500万円の税法上の取扱いはどのようになるか。
3.Aの商品先物取引によって平成22年中に生じた売買差損3000万円は,Aの建築業での所得金額3000万円と損益通算できるか。
〔設問2〕
Aが平成23年中に得た損害賠償金等220万円の税法上の取扱いはどのようになるか。また,同年中に弁護士Dに支払った着手金30万円及び報酬40万円の税法上の取扱いはどのようになるか。
(参照条文)所得税法施行令
第30条 法第9条第1項第17号(非課税所得)に規定する政令で定める保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)は,次に掲げるものその他これらに類するもの(これらのものの額のうちに同号の損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には,当該金額を控除した金額に相当する部分)とする。
一 (略)
二 損害保険契約に基づく保険金及び損害保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金(前号に該当するもの及び第184条第4項(満期返戻金等の意義)に規定する満期返戻金等その他これに類するものを除く。)で資産の損害に基因して支払を受けるもの並びに不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金(これらのうち第94条(事業所得の収入金額とされる保険金等)の規定に該当するものを除く。)
三 (略)
出典:法務省「2011年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。