司法試験論文式過去問演習

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2011年 司法試験 論文式 国際関係法(公法系) 第2問

問題

配点 50点

〔第2問〕(配点:50)

A国は,海洋法に関する国際連合条約第76条第1項に従って,基線から200海里までの海底の区域を自国の大陸棚として設定する大陸棚宣言を,国際社会に向けて公式に行った。以下のようにB国との間で紛争がある海底の区域を除いて,それ以外の海底の区域については,A国の大陸棚宣言は,他国から抗議を受けてはいない。

A国とB国とは向かい合う位置関係にあるが,両国の沿岸間の距離が400海里に満たないために,両国のそれぞれの大陸棚に対する権利の主張が,重複する海底の区域がある。それゆえに,両国の間には,大陸棚の境界画定に関する紛争がある。

海洋法に関する国際連合条約第83条は,大陸棚の境界画定について規定する。A国は同条約の当事国であるが,B国は当事国ではない。海洋法に関する国際連合条約第83条第1項の採択に際しては,複数の見解が対立したため,その妥協として同条項が採択された。1994年に同条約が発効して以来,大陸棚の境界画定について,交渉による実践や裁判実践が集積してきている。同条約第83条第1項の解釈はほぼ定着しており,衡平な解決を達成するためには,まず中間線を引いて,関連ある事情を考慮して必要な修正を加えるべきと解されている。

ところで,A国とB国の大陸棚に対する権利主張が重複している海底の区域には,一体をなす海底油田が広がっていて,資源が豊かに存在している。現在,両国の間で大陸棚境界画定交渉は断絶している。最近になってB国は,一方的にこの海底油田の資源開発に着手した。A国は,B国の開発行為に対して,強く抗議している。というのも,B国が開発を行っている海底の区域は,将来,境界画定が行われればA国の大陸棚となる可能性があり資源開発を見込めるが,B国が資源開発行為を即時に中止しないと,この海底の区域からの資源がB国の資源開発行為により奪われてしまい,資源回復は不可能であり,A国による資源開発の見込みがなくなるおそれがあるからである。両国間では対立が深まり,著しく緊張が高まっている。

A国もB国も,国際司法裁判所規程第36条第2項に基づき選択条項受諾宣言を行っている。そこでA国は,国際司法裁判所にこの大陸棚境界画定紛争を付託してこの紛争に適用のある国際法の宣言を求めるとともに,B国の資源開発行為を中止させるために暫定措置請求を行った。

以上の事実関係を前提に,以下の設問に答えなさい。

〔設 問〕

1.B国との紛争がある海底の区域に関する部分を除いて,A国の大陸棚宣言が国際法上の効力を持ち得るかについて論じなさい。

2.国際司法裁判所が暫定措置を指示するための要件について論じなさい。

3.国際司法裁判所が,A国とB国間の紛争に適用のある国際法として,海洋法に関する国際連合条約第83条第1項の規定を宣言するとすれば,その理由について論じなさい。

出典:法務省「2011年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。