司法試験論文式過去問演習

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2011年 司法試験 論文式 国際関係法(公法系) 第1問

問題

配点 50点

[国際関係法(公法系)]

〔第1問〕(配点:50)

1980年に入国が認められて以来,X国人甲は,Y国内で乙社(有限責任法人)の名義で適法に貿易業を営んでいた。ところが,2000年5月20日夜にY国官憲が甲の自宅を訪れ,突如理由も示さず甲を逮捕し連行した。その後,現在まで甲について裁判も開かれないままY国政府による拘禁が続いている。乙社は,甲が一人で切り回していたために,甲の長期間にわたる拘禁によって立ち行かなくなり,2001年6月に倒産し,その後の破産手続を経て,2004年末までに乙社の資産は,全て債権者に分配された。

X国,Y国は,共に「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(以下「自由権規約」という。)及び自由権規約第1選択議定書の当事国であるが,いずれも欧州人権条約などの地域的人権条約には加入していない。また2000年1月1日以降,Y国内で緊急事態が宣言されたことはない。

以上の事実関係を前提に,以下の設問に答えなさい。

〔設 問〕

1.甲の代理人は,Y国の裁判所に甲の釈放を求めることを考えた。そこで,国際法上の主張をするためにはどのような議論をする必要があるかについて説明しなさい。なお,従来Y国国内裁判所において自由権規約が援用されたことはない。

2.X国は,甲の家族からの訴えを受けて,Y国に甲の救済を求めようとした。X国は,Y国に対して国際法上どのような請求をすることが可能か。Y国に要求できる全ての請求をその根拠を示して論じなさい。

3.甲の家族は,個人として利用できる国際法上の手続によって甲の救済を求めようと考えた。甲の家族が,甲を救済するために個人として利用可能な国際法上の手続は何か。当該手続によってどのようなことが可能になるか,またどのような限界があるかを含めて説明しなさい。

出典:法務省「2011年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。