2011年 司法試験 論文式 知的財産法 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
コンピュータ用ゲームソフト製作会社であるAは,新しい恋愛シミュレーションゲームの開発プロジェクトを開始することを決定し,フリーのゲームクリエイターであるBにこのプロジェクトに参加することを要請した。Bは,この要請を受け入れ,Aの施設内でこの開発作業に従事することになった。そして,Bは,Aの従業員であるCと共同して,ゲームソフトαを作成した。αの内容は,ゲームを行う主人公(プレイヤー)が架空の高等学校の生徒となって,設定された登場人物の中から憧れの生徒を選択し,卒業式の当日に,この生徒から愛の告白を受けることを目指して,それにふさわしい能力を備えるための努力を積み重ねるというものである。αにおいては,プレイヤーの能力値として9種類のパラメータの初期値が設定されている。そして,プレイヤーが選択できるコマンドがあらかじめ設定されるとともに,コマンドの選択により上昇するパラメータと下降するパラメータとが連動するように設定されており,プレイヤーが到達したパラメータの数値いかんにより,憧れの生徒から愛の告白を受けることができるか否かが決定される。αにおいては,初期設定の主人公の能力値からスタートし,憧れの生徒から愛の告白を受けることを目標として主人公自身の能力を向上させていくことが中核となるストーリーであり,その過程で主人公の能力値の達成度等に応じて他の生徒との出会いがあるという設定となっており,そのストーリーは,一定の条件下に一定の範囲内で展開されるものである。
Aは,αを収納したDVDを販売しており,αには,複製防止手段を施している。しかしながら,このDVDを購入したDは,αに施された複製防止手段を回避することにより,αを複製し,その複製物を収納したDVDを販売しており,また,αをインターネット上に開設された自己のウェブサイトに掲載した。
Dの販売するDVDを購入したEからこれを借り受けたその友人Fは,αを自己の有する空のDVDにダビングした。Gは,Dのウェブサイトにアクセスし,そこに掲載されたαを自己のパソコン内のハードディスクにダウンロードした。F及びGは,それぞれの自宅においてαをプレイしている。
以上の事実関係を前提として,以下の設問に答えよ。
〔設 問〕
1.Aは,F及びGに対して,著作権法に基づき,どのような請求をすることができるか。また,Bは,F及びGに対して,著作権法に基づき,どのような請求をすることができるか。
2.Hは,αで使用されるパラメータがデータとして収められているメモリーカードβを販売している。βのデータを使用すると,入学直後の時点でパラメータのほとんどが極めて高い数値となり,これが憧れの生徒に合った達成度でプレイすることができるような数値である結果,入学当初から本来は登場し得ない生徒が登場する。また,ゲームスタート時点が卒業間近の時点に飛び,その時点でパラメータの数値が本来ならばあり得ない高数値に置き換えられ,必ず憧れの生徒から愛の告白を受けることもできるようになっている。F及びGは,Hの販売するβを購入し,これを用いて自宅においてαをプレイしている。
この場合,Aは,F,G及びHに対して,どのような請求をすることができるか。
出典:法務省「2011年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。