2010年 司法試験 論文式 倒産法 第1問
問題
配点 50点[倒 産 法]
〔第1問〕(配点:50)
次の事例について,以下の設問に答えなさい。
【事 例】
建設業を営むA株式会社(以下「A社」という。)は,区分所有建物(以下「本件建物」という。)を所有していたところ,金融業を営むB株式会社(以下「B社」という。)から弁済期を2年後として3000万円を借り入れ(以下,この貸付金の返還請求権を「本件貸付債権」という。),本件貸付債権を被担保債権として,B社のために,本件建物に1番抵当権(以下「本件抵当権」という。)を設定し,その登記がされた。その直後,A社は,C株式会社(以下「C社」という。)に対し,本件建物を賃料月30万円で賃貸し,C社は,ここで店舗の営業を始めた。
ところがその半年後,A社は,経営不振から急速に資金繰りに窮してきた。そこで,A社の内情を知ったB社は,A社との間で,A社が所有していた中古トラック(以下「本件トラック」といい,道路運送車両法第5条第1項の適用を受けるものとする。)を,本件貸付債権のうちの100万円の弁済に代えて譲り受ける旨の合意をし,その引渡しを受けて登録名義もA社からB社に移転した(この代物弁済契約を,以下「本件代物弁済」という。)。そして,B社は,直ちにこれを100万円で第三者に売却して,引き渡した。
それから20日後,A社は,とうとう資金繰りがつかずに,手形の不渡りを出した。そして,その翌日,A社は,自己破産を申し立て,直ちに破産手続開始決定がされて,破産管財人Kが選任された。
Kは,本件トラックについて調査をしたところ,現在の所在は不明で,現物を取り戻すことは不可能であるが,時価は150万円と算定することができることが明らかとなった。また,Kは,本件建物についても調査したところ,C社がそこで店舗の営業を続けており,本件建物の時価は約1500万円であった。
〔設 問〕 以下の1及び2については,それぞれ独立したものとして解答しなさい。
1⑴ 本件代物弁済に関して,KはB社に対してどのような請求をすることができるかを論じなさい。
⑵ 設問の事実関係で,仮に本件代物弁済がされた際に本件トラックの登録名義の移転がされず,登録名義がA社に残ったままであったとしたならば,本件代物弁済に関して,KはB社に対してどのような請求をすることができるか,上記⑴と比較しながら論じなさい。
2 B社は,A社の破産手続開始決定後に,本件貸付債権の残額をどのように回収することができるか,その場合の手続はどのようになるかについて,本件貸付債権の破産手続の中での行使と,本件抵当権の行使との両方を踏まえて,説明しなさい。
(参照条文)道路運送車両法
第5条 登録を受けた自動車の所有権の得喪は,登録を受けなければ,第三者に対抗することができない。
2 (省略)
出典:法務省「2010年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。