2010年 司法試験 論文式 租税法 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
イタリア料理のレストランを経営する個人事業者であるXは,所轄のY税務署長から青色申告の承認を受け,青色申告書により所得税の確定申告を行っていた。
平成21年分の事業所得につき,Xが確定申告書を提出したところ,所轄税務署の担当職員Aは,経費の過大計上を疑い,Xのレストランにおいて臨場調査を行った。Aが平成19年分から同21年分まで(以下「本件各年分」という。)の帳簿書類の提示を求めたところ,Xは,机上に帳簿書類を積み上げ,「このとおり,帳簿書類はきちんと記録して保存してあるが,今は忙しいので見せられない。」と述べて,その提示をせず,その後の調査日程の調整にも言を左右にして応じなかった。その後,Aは,再びXのレストランに出向いて本件各年分の帳簿書類の提示を求めたが,Xは,前回と同様に,多忙などを理由に帳簿書類の提示をしなかった。他方,Xは,その後,繰り返しAに電話をして,顧問税理士を探しているところであるから待ってほしい旨を述べた。Aは,そのいずれの際にも,Xに対し,税理士の選任は別として,帳簿書類を提示するよう求めたが,Xは,「税理士が決まるまで待ってほしい。」あるいは「準備中でありもう少し待ってほしい。」などと答えた。その後,AがXのレストランに出向いて尋ねたところ,Xは,「良い税理士がいないので,税理士に依頼するのはやめた。」と述べた。その際,Aは,繰り返し本件各年分の帳簿書類の提示を求めたが,Xがやはり言を左右にしてこれに応じなかったので,Xの帳簿書類の内容を確認することはできなかった。
そこで,所轄のY税務署長は,Xに対し,青色申告承認取消処分を行うとともに,本件各年分の所得税の更正処分を行った。
所轄のY税務署長は,上記更正処分において,Xが経費として計上していた金額は虚偽のものであるとした上で,経費の額について推計により算定した金額を用いて処分を行っている。その推計の方法は,Xのレストランの所在地と同市内でイタリア料理のレストランを経営している個人事業者で青色申告書を提出している者の中から,従業員数とテーブル数を基準にXと同規模のレストランを経営していると認められる者4人を抽出して,その収入金額に対する経費の額の割合の平均値を採って,Xの申告した収入金額に乗じて経費の額を算出するというものであった。
以上の事案について,以下の設問に答えなさい。
〔設 問〕
1 青色申告制度の趣旨と概要について,簡潔に説明しなさい。
2 Xに対する青色申告承認取消処分の適否について,根拠となる所得税法の規定に言及しつつ,具体的に論じなさい。
3 推計課税が認められている実質的な根拠とそれが認められる要件について,簡潔に説明しなさい。
4 Xに対する推計課税の適否について論じなさい。
出典:法務省「2010年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。