司法試験論文式過去問演習

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2009年 司法試験 論文式 租税法 第2問

問題

配点 50点

〔第2問〕(配点:50)

Aは,B株式会社(内国法人。以下「B社」という。)の常勤の取締役を20数年間務め,平成20年3月期決算に係る定時株主総会の終結をもって取締役副社長としての任期を満了したが,同株主総会において非常勤の監査役に選任され,その後は監査役としての職務に専念している。AがB社の取締役に就任した当時,同社は倒産寸前の苦境に陥っていたが,Aは長年かけて同社の経営の再建に尽力し株式上場の立役者となった。このことは社内外を問わず衆目の一致するところである。

前記株主総会では,Aは引き続き役員を務めることになったが,これを機にAに役員退職慰労金支給規程に従って退職慰労金を支給することが決議された。その決議を受けて,B社の取締役会では,役員退職慰労金支給規程の定める基準に従ってAに対する退職慰労金の額を1億3000万円とする旨の提案がなされた。これに対して,審議の冒頭で,「Aの我が社への貢献は高く評価するが,それでも上場して間もない我が社の資産,収益等の現状からみて高額すぎるのではないか。」との強硬な反対意見が出され,これに同調する者もいたが,途中から,「もっともな御意見ではあるが,上場会社としてそれなりの配慮があってもよいのではないか。」との賛成意見が優勢になり,結局,原案どおり承認された。決定された退職慰労金の内訳及び内容は以下のとおりである。

① 標準退職慰労金 7000万円

この金額は,役員退職慰労金支給規程の定める基準に従い,役位別の最終報酬月額に役位ごとの在任期間の年数及び役位別の役位係数を乗じて算出したものである。

② 功労加算金2000万円

この金額は,役員退職慰労金支給規程の定める基準に従い,「在任中特に功績が著しかったと認められる役員」に対して標準退職慰労金の金額の30%を超えない範囲で支給することができるものとされている功労加算金について,算出したものである。

③ 特別功労加算金 4000万円

この金額は,役員退職慰労金支給規程の定める基準に従い,「当社の創業を主導し推進した役員,強力な戦略の成功をもたらした役員,当社の苦境を脱し盛業に導いた役員,その他当社に大いなる貢献をなし,その功績が顕著であったと認められる役員」に対して功労加算金の金額の倍額を超えない範囲で支給することができるものとされている特別功労加算金について,算出したものである。

特別功労加算金については,金銭で支給することにした標準退職慰労金及び功労加算金とは異なり,B社所有の帳簿価額4000万円の甲土地を支給することにした。

B社は,Aに対する退職慰労金(以下「本件退職慰労金」という。)の支給に当たって,1億3000万円について,損金処理をする一方,所得税を源泉徴収した。なお,甲土地の支給時の時価は1億円であった。

以上の事案について,以下の設問に答えなさい。ただし,取締役に対する損害賠償請求の可能性及びそれに伴う課税問題を検討する必要はない。

〔設 問〕

1.本件退職慰労金に係る所得の種類及び収入金額が所得税の課税上どうなるかについて,所得税法における課税の趣旨にも触れながら,条文を摘示しつつ論じなさい。

2.本件退職慰労金の支給に係るB社の法人税の課税関係がどうなるかについて,条文を摘示しつつ論じなさい。

出典:法務省「2009年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。