司法試験論文式過去問演習

過去問の答案を投稿・採点

2009年 司法試験 論文式 国際関係法(公法系) 第2問

問題

配点 50点

〔第2問〕(配点:50)

A国の非政府船舶Xが調査捕鯨に向かうために公海を航行していたところ,B国の非政府船舶YとZが,調査捕鯨に抗議する目的で,A国船舶Xに体当たりした。A国船舶Xでは,乗組員の数名が重傷を負った。A国の政府船舶Kが近くの公海上に居合わせたため,救助作業に従事するとともに,B国船舶YとZにA国の港に入港するように要請したところ,B国船舶Yは,自発的にA国の港に入港した。B国船舶Zは,その後も,公海上でA国船舶Xに対する航行妨害や軽微な体当たりを継続した。A国もB国も国際連合海洋法条約の当事国である。A国の刑法では,傷害罪については,「A国外においてA国民に対して傷害の罪を犯した者」にもA国刑法の適用があり,それにより処罰されると規定している。A国は,A国刑法を適用して,B国船舶Yの船長であるB国人甲を傷害罪で処罰した。

〔設問1〕

A国がA国刑法を適用してB国船舶Yの船長であるB国人甲を処罰した点について,国際法上どのように評価されるかを,次の順序で論じなさい。

⑴ 国際法は,国家が管轄権を行使する根拠として何を認めているか,それに関する国際法の原則を明らかにしなさい。

⑵ A国は,A国の港に入港したB国船舶Yの船長甲にA国刑法を適用して傷害罪で処罰したが,A国が公海上で体当たりを行ったB国船舶Yの船長B国人甲の行為について傷害罪で処罰することができると考えたことについて,国際法上の根拠に照らしてどのように評価されるか論じなさい。

〔設問2〕

A国の政府船舶Kが,A国船舶Xに対する航行妨害や軽微な体当たりを繰り返すB国船舶Zに対して,その公海上で停船命令を発して強制的にこれを停止させて乗船検査を行うなどの執行措置を採る場合を想定して,次の順序で論じなさい。

⑴ 国際連合海洋法条約の規定する公海制度の根本をなす原則(管轄権行使に関する原則を含む。)は何かを明らかにしなさい。

⑵ A国の政府船舶Kによる,公海上にあるB国船舶Zに対する乗船検査などの執行措置について,国際連合海洋法条約の根拠に照らして国際法上どのように評価されるか論じなさい。

出典:法務省「2009年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。