司法試験論文式過去問演習

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2009年 司法試験 論文式 経済法 第2問

問題

配点 50点

〔第2問〕(配点:50)

A電機株式会社(以下「A」という。)は,東京都に本店を置き,家電製品の小売業を営む者である。Aは,平成12年ころから,その販売する家電製品が低価格であることにより顧客の支持を獲得し,関東地方を中心に東日本地域全域で店舗数を急速に拡大するとともに,売上高を伸ばしている。Aは,平成18年以降,東日本地域の家電小売業において売上高第1位になっている。

東日本地域では,Aのような業態をとるいわゆる家電量販店には,AのほかB及びCなどが存在する。A,B及びCはそれぞれ東日本地域の主要な都市に参入しており,各社の都市部におけるシェアは多少異なるが,おおむね次のとおりである。家電小売業全体で見ると,いわゆる家電量販店の合算シェアは50%程度を占め,Aは第1位でシェア25%から30%,Bが第2位でシェア10%前後,Cが第3位でシェア5%前後である。家電小売業全体における家電量販店を除く家電小売店(以下「家電専門店」という。)の合算シェアは50%程度であるが,ほとんどが小規模事業者でありシェア0.5%を超える家電専門店は存在しない。

このような状況において,Aは,5年後には全国の主要な地域において売上高第1位になることを目標に掲げ,全国に本格的に進出することとした。また,Aは,そのため東日本地域における経営基盤を強化することとした。そこで,Aは,次の⑴及び⑵の方針を採ることとした。

⑴ Aは,まず中部地方に進出することとし,平成21年6月1日に名古屋に3店舗を開店する。その新規開店セールとして,今後1か月間,毎週末に販売キャンペーンを行い,週末ごとに各店において先着50名に対していわゆる格安パソコンを2000円で販売する。なお,Aはこの格安パソコンを3万円で仕入れたが,その後新型製品が販売されたために,旧型製品となっている。

⑵ Aは,その地盤である東日本地域において販売活動を強化するために以下の販売キャンペーンを行う。①我が国で販売されている主要な液晶テレビのメーカー4社(以下「4社」という。)の37インチ及び40インチの液晶テレビ(以下「本件液晶テレビ」という。)を,今後3か月間,それぞれおおむね14万円及び19万円で販売する。②本件液晶テレビの販売台数には制限を設けない。本件液晶テレビをキャンペーンの対象にしたのは,Aが有力市場調査会社Dに依頼して行ったアンケート調査により,消費者が購入したいとする家電製品中トップにあったことから,消費者にアピールすると考えたためである。

Aは,本件液晶テレビを4社から直接仕入れているが,このキャンペーンに際して4社と個別に仕入価格の交渉をした結果,4社からそれぞれ毎月1万台以上を仕入れることを条件に,1台当たりの仕入価格を37インチテレビについては15万円,40インチテレビについては18万円で購入することに成功している。他の家電量販店及びすべての家電専門店は,Aのような大量購入ができないために,本件液晶テレビの仕入価格は37インチテレビでは16万円,40インチテレビでは21万円をいずれも上回るものと見込まれる。

なお,Aにおいて,本件液晶テレビの販売に係る経費及び総務部門や店舗全体を運営し管理するために要する経費等の諸費用は,テレビ1台当たり2万円である。したがって,Aの本件液晶テレビの総販売原価,すなわちテレビの仕入価格にこの諸費用2万円を加えた金額は,37インチテレビについては17万円,40インチテレビについては20万円である。

〔設 問〕

弁護士甲は,Aの前記方針が独占禁止法に違反しないかどうかAから相談を受けた。甲は弁護士としていかなる回答をすべきか述べなさい。なお,解答するに当たり付加的な事情を考慮すべき場合には,そのような事情を補って述べなさい。

出典:法務省「2009年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。