2009年 司法試験 論文式 経済法 第1問
問題
配点 50点[経 済 法]
〔第1問〕(配点:50)
1 A,B及びCの各社はいずれも,事業者向けの商品Xを製造販売する機械メーカーであり,各社のXの市場占有率(シェア)は,Aが50%,B及びCが各25%である。A及びB(以下「両社」という。)は,Xに関し,最近,需要が低迷し部品の値上がりが著しいことから,コスト削減の方策として,①部品の共同購入及び②共同物流会社の設立を計画している。
2 部品の共同購入について
両社の製造販売するXの主要部品の規格や仕様は共通している。そこで,両社は,共同購入によるスケールメリットを活用して,部品の購入費用を引き下げることを考えている。具体的には,個々の部品ごとに両社の購入予定数量を合計した上で,部品メーカーとの交渉窓口をA又はBに一本化し,その合計数量で単価をどこまで引き下げることができるかを交渉し,両社にとって最も有利な条件の購入先1社から同一単価で当該部品を購入することにする。その際,両社は,部品メーカーとの交渉のベースとなる各部品の調達予定金額の目安を設けることにするが,さらに,この調達予定金額の目安を検討する前提資料とするために,Xの販売量が落ち込まない範囲内で想定できるXの販売価格の上限を協議し決めておくことも検討している。
なお,両社のいずれにおいても,この共同購入の対象となる部品の購入費用は,Xの製造コストの約80%であり,Xの製造コストは,製品価格の約80%である。また,この共同購入の対象となる部品は,Xのみに使用されており,我が国でこれを製造している部品メーカーは3社である。
3 共同物流会社の設立について
Aは千葉県千葉市内にある自社の工場で,Bは大阪府堺市内にある自社の工場でそれぞれXの製造をしているが,両社の需要家は全国に散在しているため,従来は,Aは九州の需要家へも千葉市内の工場から,Bは北海道の需要家へも堺市内の工場から,それぞれ自社トラックで配送していた。そこで,両社は,トラックの利用効率の向上や配送時間の短縮等を図るため,Aが51%,Bが49%の割合で出資してXの物流業務を行う共同出資会社甲を設立し,それぞれ保有しているX配送用のトラックを甲に譲渡して,甲において以下のような方法で配送することを考えている。なお,両社とも,物流コストは,製品価格の約10%を占めている。
⑴ 甲の従業員は,両社からの出向者とし,いずれからの出向であるかを問わず,両社製のXについて配送業務に従事する。
⑵ 千葉市及び堺市の各工場に甲が運営する共同物流センターを設け,各共同物流センターは,両社製のXを一定数在庫し,1台のトラックが両社製のXを積載して配送する混載方式を採る。
⑶ 両社は,それぞれの受注に関し,需要家の名称及び所在地並びに受注数量,納期及び販売価格(単価及び値引き額等)を記載した納品書を甲に送付し,甲の従業員は,各共同物流センターの輸送能力や両社製のXの在庫状況を勘案して,最も効率的に配送できるよう,トラック配備及び配送ルートを調整する。
〔設 問〕
前記の①部品の共同購入及び②共同物流会社の設立の各計画について,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)上の問題点を分析して検討しなさい。
出典:法務省「2009年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。