2008年 司法試験 論文式 倒産法 第1問
問題
配点 50点[倒 産 法]
〔第1問〕(配点:50)
次の事例について,以下の設問に答えなさい。
【事 例】
A株式会社(以下「A社」という。)は,取引先の倒産を契機として経営状態が著しく悪化した。A社のメインバンクとして,同社の全債務3億円のうち2億5000万円について貸付けを行っていたB銀行は,平成19年12月になり,債権全額についてA社から回収することは困難であると考え,A社との間で再建計画を作成し,弁済期の到来した2億5000万円の債務について期限を猶予した。しかし,その後A社の経営状態に不安を抱いたB銀行が経理状況を改めて調査したところ,A社には,実際は,総額1億円の簿外債務が存在することが判明した。B銀行は,A社の破たんはいずれ避けられないものと判断して再建計画に基づく協力を取りやめることを決定し,平成20年1月25日にはその旨をA社に告げて再建計画を破棄した。
他方,以前からB銀行を抵当権者とする抵当権が設定されていたA社所有の甲土地については,周辺地域の再開発計画が発表され,地価が上昇したことから,2000万円分の担保余剰が生じた。そこで,A社は,平成20年2月1日,これに抵当権を設定して資金を調達すべく,C銀行に融資を申し込み,C銀行は,同月4日,A社の救済策として,甲土地について第2順位の抵当権を設定して,2000万円を貸し付けた。しかし,A社の破産は必至であると考えていた同社の代表者Dは,融資を受けるに当たり,貸付金を妻のEに贈与することを意図しており,その後貸付金はEに交付された。
また,F株式会社(以下「F社」という。)は,A社に対して無担保の債権3000万円(以下「S債権」という。)を有していたが,B銀行が再建計画を破棄したことを知り,平成20年2月5日,A社から,同社所有の土地のうち唯一担保の設定されていない乙土地(価格3000万円)を代金3000万円で買い受け,同日,既に弁済期の到来していたS債権をもって乙土地についての売買代金債権と相殺する旨の意思表示をした。
その後資金繰りに窮したA社は,平成20年3月3日に裁判所に対し自ら破産手続開始の申立てをし,同月10日に破産手続開始の決定がされ,破産管財人Xが選任された。
〔設 問〕
1. 破産管財人Xは,甲土地に関しC銀行に対して否認権を行使することができるか。
2. 破産管財人Xは,F社に対してどのような請求をすべきか。
出典:法務省「2008年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。