司法試験論文式過去問演習

過去問の答案を投稿・採点

2008年 司法試験 論文式 国際関係法(私法系) 第2問

問題

配点 50点

〔第2問〕(配点:50)

日本のX会社は,乙国のA会社から所定の大きさの箱に詰めた冷凍エビを輸入することとし,Aとの間で,「Xが船舶の手配をし,運送賃を支払う。Aが冷凍エビを詰めた約定の数量の箱を乙国の港で運送人に引き渡すことによって商品の引渡しとする。売買代金はXが日本の銀行に開設する信用状による決済とする。」旨の約定で契約した。その後,Xは,海上運送業者Y会社に乙国の港から日本の港までの海上運送を依頼し,Aは,Yが提供した冷凍貨物用のコンテナー1個に自ら冷凍エビを詰めた約定の数の箱を積み込んで施錠し,運送中の温度管理についてYに指示をして,当該コンテナーを乙国の港にあるYのコンテナー・ヤードで引き渡した。

Yがコンテナーの船積後にAに交付した船荷証券上の運送品の種類,運送品の容積,重量,包・個品の数,運送品の記号を記載する欄には,当該コンテナーを特定する記号及び番号の記載と,その内容は冷凍エビを詰めた一定数の箱であるとの記載がある。

日本の港での陸揚後,Xが,船荷証券を呈示してYからコンテナーの引渡しを受け,直ちにその中を検査したところ,コンテナー内の温度が適当でなかったため,冷凍エビの鮮度が落ちており,Xは当該冷凍エビを市価の3割程度で売却せざるを得なかった。そこで,Xは,コンテナーの受取から引渡しまでの間のYの措置が適切でなかったとして,Yに対する損害賠償請求の訴えを日本の裁判所に提起した。

この事例について,以下の設問に答えなさい。

なお,設問の各問いは,いずれも独立したものである。また,この事例及び設問における日本の会社,乙国の会社,丙国の会社とは,それぞれ,日本,乙国,丙国で設立され,設立された国に主たる営業所を有する会社をいうものとする。

〔設 問〕

1. Yが丙国の会社であるとし,YがAに交付した船荷証券には「本件運送契約から生ずる運送人の責任についての争いは,Yの主たる営業所の所在地である丙国のM市の裁判所においてのみ解決する。」との条項が記載されているものとする。

Yは,この条項に基づいて,日本の裁判所は本件訴訟について管轄権を有しないと主張している。これに対して,Xは,この条項はXとYの双方が署名した書面によるものではないとの理由で,本件訴訟については丙国の裁判所には管轄権がなく,日本の裁判所に管轄権があると主張している。

このYの主張は認められるか。

なお,丙国では,被告の住所又は主たる営業所の所在地の裁判所は被告に対する訴えについて管轄権を有するとしている。また,日本と丙国は,いずれも,「1968年2月23日の議定書によって改正された1924年8月25日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書」の締約国である。

2. Yが日本の会社であり,YがAに交付した船荷証券には「本件運送契約から生ずる運送人の責任についての争いは,日本のN市の裁判所において,日本法によって解決する。」との条項が記載されているものとする。

⑴ XがYに対して冷凍エビの商品価値の下落についての損害賠償責任を追及することができるのは,どのような場合か。

⑵ XがYに対して損害賠償責任を追及することができるとした場合,冷凍エビに関する損害賠償の金額は,どのようにして算定されるか。

出典:法務省「2008年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。