2008年 司法試験 論文式 国際関係法(公法系) 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
次の文章を読んで,後記の設問に答えなさい。
A国とB国との間には,安全保障条約が結ばれている。それに基づいて,B国の領土には,A国の軍事基地がある。この軍事基地では,夜間から早朝においてもA国軍隊のジェット機が離発着し,それに伴う地上における活動が日常的に行われている。これらの活動に起因する騒音によって,当該基地の付近に居住する住民は,精神的及び身体的な被害を被っている。そこで,当該基地の付近に居住する住民のうちのXは,B国の国内裁判所へ,A国を被告として損害賠償を請求する訴訟の提起を考えている。
A国は,安全保障条約上の関連条文に基づき,A国軍隊の活動の結果が基地外に及ぶ場合には,公共の安全に配慮する義務を負う。また,A国軍隊は,B国の法令を尊重する義務を負っている。さらにこの条約には,次の条項がある。
第6条 公務執行中のA国軍隊の構成員の作為又は不作為あるいはA国軍隊が法律上責任を有するその他の作為,不作為,若しくは事故を原因とするB国における損害賠償請求に関しては,A国政府との間で解決するのではなく,B国政府との間で解決するものとする。
〔設 問〕
文章の事例において,A国軍隊の航空機による夜間離発着やそれに伴う活動を原因とする損害に関して,損害賠償請求訴訟を提起されたB国裁判所は,確立した国際法の原則に従って,本事例の固有の法状況を踏まえて,B国の裁判管轄権につきどのように判断すべきかについて,自己の見解とその理由を述べなさい。
なお,一国の領域内における他国の行為や他国の不動産をめぐる訴訟に関して,領域国の民事裁判権が肯定される国内裁判事例やこれを明定する国内法が増えてきているという事実がある。
出典:法務省「2008年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。