2007年 司法試験 論文式 租税法 第1問
問題
配点 50点[租 税 法]
〔第1問〕(配点:50)
Xは,親友Aが代表取締役として実質的に一人で経営しているB株式会社(以下「B社」という。)の非常勤の取締役であるが,同社の経営には全く関与していなかった。Aは,平成14年6月,C銀行から5000万円を借り入れ,B社の運転資金に充当した。その際,Xは,Aから依頼されて,Aの上記借入れについて連帯保証した。
その後,B社の経営が次第に悪化し利息の支払すら困難になり,Xは,Aに懇願されて,やむを得ず,平成17年3月,自己所有の土地(30年前に1000万円で購入した土地。以下「本件土地」という。)を売却して,その売却代金8000万円から,譲渡費用300万円を支払った上,AのC銀行に対する残債務4000万円全額を返済し,4000万円をAに求償した。しかし,B社は経営不振が続いた結果,債務超過に陥り辛うじて営業を続けている状態であって,Aには,Xから求償された金銭の返済資金が全くなかった。
そこで,Xは,本件土地の売却代金のうち,C銀行に対する返済に充当した部分については,所得税法第64条第2項に規定する所得計算の特例の適用を受けることができるものとして,平成17年分の確定申告書を提出した。
以上の事案について,以下の設問に答えなさい。
〔設 問〕
1. 所得税法第64条第2項の規定の適用がないとした場合において,本件土地の売却に係るXの所得税の課税関係がどうなるかについて,所得税法の条文の根拠を摘示して論じなさい。ただし,租税特別措置法の適用はないものとして論じなさい(以下の設問においても同じ。)。
2. Xが所得税法第64条第2項に規定する所得計算の特例の適用を受けることができるかどうかについて,その適用要件を示した上,前記の事案においてこれに該当する事実としてどのような事実が認められるのかを検討しつつ論じなさい。
3. 前記の事案中のAの平成14年6月の借入れの時点で,B社が既に債務超過で辛うじて営業を続けている状態であり,Aにも返済資金が全くなかったとした場合において,Xが所得税法第64条第2項の適用を受けることができるかどうかについて論じなさい。
出典:法務省「2007年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。