2007年 司法試験 論文式 環境法 第1問
問題
配点 50点[環 境 法]
〔第1問〕(配点:50)
環境影響評価法施行以前の国レベルにおける環境影響評価は,閣議決定「環境影響評価の実施について」に基づく環境影響評価実施要綱により実施されていた([資料]参照)。環境影響評価法は,同実施要綱に基づく制度を,幾つかの点で改善している。
以下の設問に答えよ。
〔設問1〕
環境影響評価実施要綱と環境影響評価法を比較して,同法の特徴について論ぜよ。(配点:35)
〔設問2〕
環境影響評価法がなお有する限界について論ぜよ。(配点:15)
[資 料]
○ 環境影響評価の実施について
(昭和59年8月28日閣議決定)
1 政府は,事業の実施前に環境影響評価を行うことが,公害の防止及び自然環境の保全上極めて重要であることにかんがみ,環境影響評価の手続等について,下記のとおり,環境影響評価実施要綱を決定する。
2 国の行政機関は,環境影響評価を実施するため,この要綱に基づき,国の行う対象事業については所要の措置を,免許等を受けて行われる対象事業については,当該事業者に対する指導等の措置をできるだけ速やかに講ずるものとする。
3 政府は,この要綱に基づく措置が円滑に実施されるよう事業者及び地方公共団体の理解と協力を求めるものとする。
4 政府は,地方公共団体において環境影響評価について施策を講ずる場合においては,この決定の趣旨を尊重し,この要綱との整合性に配意するよう要請するものとする。
5 この要綱で別に定めるとされている事項等この要綱に基づく手続等に必要な共通的事項を定めるため,別紙に定めるところにより,内閣に環境影響評価実施推進会議を設ける。
記
環境影響評価実施要綱
第1 対象事業等
1 対象事業は,次に掲げる事業で,規模が大きく,その実施により環境に著しい影響(公害(放射性物質によるものを除く。)又は自然環境に係るものに限る。)を及ぼすおそれがあるものとして主務大臣が環境庁長官に協議して定めるものとすること。
(1) 高速自動車国道,一般国道その他の道路の新設及び改築
(2) 河川法に規定する河川に関するダムの新築その他同法の河川工事
(3) 鉄道の建設及び改良
(4) 飛行場の設置及びその施設の変更
(5) 埋立及び干拓
(6) 土地区画整理法に規定する土地区画整理事業
(7) 新住宅市街地開発法に規定する新住宅市街地開発事業
(8) 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律に規定する工業団地造成事業及び近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律に規定する工業団地造成事業
(9) 新都市基盤整備法に規定する新都市基盤整備事業
(10) 流通業務市街地の整備に関する法律に規定する流通業務団地造成事業
(11) 特別の法律により設立された法人によって行われる住宅の用に供する宅地,工場又は事業場のための敷地その他の土地の造成
(12) (1)から(11)までに掲げるもののほか,これらに準ずるものとして主務大臣が環境庁長官に協議して定めるもの
2 環境影響評価を行う者は事業者とし,事業者とは,対象事業を実施しようとする別に定める者とすること。
第2 環境影響評価に関する手続等
1 環境影響評価準備書の作成
(1) 事業者は,対象事業を実施しようとするときは,対象事業の実施が環境に及ぼす影響(対象事業が第1の1(5)の事業以外の事業である場合には,対象事業の実施後の土地(当該対象事業以外の対象事業の用に供するものを除く。)又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動に伴って生じる影響を含むものとし,対象事業の実施のために行う第1の1(5)に掲げる事業により生ずる影響を含まないものとする。)について,調査,予測及び評価を行い,次に掲げる事項を記載した環境影響評価準備書を作成すること。
① 氏名及び住所等
② 対象事業の目的及び内容
③ 調査の結果の概要
④ 対象事業の実施による影響の内容及び程度並びに公害の防止及び自然環境の保全のための措置
⑤ 対象事業の実施による影響の評価
(2) (1)の調査等は,主務大臣が環境庁長官に協議して対象事業の種類ごとに定める指針に従って行うものとし,環境庁長官は,関係行政機関の長に協議して,主務大臣が指針を定める場合に考慮すべき調査等のための基本的事項を定めること。
2 準備書に関する周知
(1) 事業者は,関係地域を管轄する都道府県知事及び市町村長に準備書を送付するとともに,当該都道府県知事及び市町村長の協力を得て,準備書を作成した旨等を公告し,準備書を公告の日から1月間縦覧に供すること。
(2) 事業者は,準備書の縦覧期間内に,関係地域内において,その説明会を開催すること。この場合において,事業者は,その責めに帰することのできない理由で説明会を開催することができない場合には,当該説明会を開催することを要せず,他の方法により周知に努めること。
3 準備書に関する意見
(1) 事業者は,準備書について公害の防止及び自然環境の保全の見地からの関係地域内に住所を有する者の意見(準備書の縦覧期間及びその後2週間の間に意見書により述べられたものに限る。)の把握に努めること。
(2) 事業者は,関係都道府県知事及び関係市町村長に(1)の意見の概要を記載した書面を送付するとともに,関係都道府県知事に対し,送付を受けた日から3月間内に,準備書について公害の防止及び自然環境の保全の見地からの意見を関係市町村長の意見を聴いた上で述べるよう求めること。
4 環境影響評価書の作成等
(1) 事業者は,準備書に関する意見が述べられた後又は3(2)の期間を経過した日以後,準備書の記載事項について検討を加え,次に掲げる事項を記載した環境影響評価書を作成すること。
① 1(1)の①から⑤までに掲げる事項
② 関係地域内に住所を有する者の意見の概要
③ 関係都道府県知事の意見
④ ②及び③の意見についての事業者の見解
(2) 事業者は,関係都道府県知事及び関係市町村長に評価書を送付するとともに,当該関係都道府県知事及び関係市町村長の協力を得て,評価書を作成した旨等を公告し,評価書を公告の日から1月間縦覧に供すること。
5 環境影響評価の手続等に係るその他の事項
(1) 事業者は,都道府県等と協議の上,説明会の開催等を都道府県等に委託することができること。
(2) 国は,地方公共団体が国の補助金等の交付を受けて対象事業の実施をする場合には,環境影響評価の手続等に要する費用について適切な配慮をするものとすること。
第3 公害の防止及び自然環境の保全についての行政への反映
1 評価書の行政庁への送付
(1) 事業者は,評価書に係る公告の日以後,速やかに,免許等が行われる対象事業にあっては別に定める者に,国が行う対象事業にあっては環境庁長官に評価書を送付すること。
(2) (1)により評価書の送付を受けた国の行政機関の長は,評価書の送付を受けた後,速やかに,環境庁長官に評価書を送付すること。
2 環境庁長官の意見
主務大臣は,1により環境庁長官に評価書が送付された対象事業のうち,規模が大きく,その実施により環境に及ぼす影響について,特に配慮する必要があると認められる事項があるときは,当該事業に係る評価書に対する公害の防止及び自然環境の保全の見地からの環境庁長官の意見を求めること。
3 公害の防止及び自然環境の保全の配慮についての審査等
(1) 対象事業の免許等を行う者は,免許等に際し,当該免許等に係る法律の規定に反しない限りにおいて,評価書の記載事項につき,当該対象事業の実施において公害の防止及び自然環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかを審査し,その結果に配慮すること。
(2) 2により環境庁長官が意見を述べる場合には,(1)の審査等の前にこれを述べるものとし,免許等を行う者は,当該免許等に係る法律の規定に反しない限りにおいて,その意見に配意して審査等を行うこと。
(3) 事業者は,評価書に記載されているところにより対象事業の実施による影響につき考慮するとともに,2による環境庁長官の意見が述べられているときはその意見に配意し,公害の防止及び自然環境の保全についての適正な配慮をして当該対象事業を実施すること。
第4 その他
1 主務大臣が定める事項,別に定める事項等この要綱に基づく手続等に必要な事項は,できるだけ速やかに定めること。ただし,第2の1(2)の基本的事項その他この要綱に基づく手続等に必要な共通的事項は,本決定の日から3月以内に定めること。
2 この要綱の実施に関する経過措置については,別に定めること。
出典:法務省「2007年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。