2006年 司法試験 論文式 倒産法 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
次に掲げる事例について,以下の設問に答えなさい。
【事 例】
A社は,建設工事を業とする株式会社であったが,折からの不況で,資金繰りが悪化していた。そこで,B信用金庫から1000万円の借入れをしようとしたところ,B信用金庫からは,A社の代表者であるCと,さらにもう1人十分な資力を有している者の計2名の連帯保証と不動産担保とがない限り,融資はできないと言われた。A社はいわゆる同族会社であり,その株式の70%はCが保有しており,代表者であるCのほか,親族である2名の取締役がいるが,業務はCが全面的に執り行っており,他の取締役には十分な資力がなかった。そこで,Cは,高校時代からの友人であり,以前若干の資金援助をしたこともあるDに「絶対に迷惑をかけることはないから。」と懇願し,連帯保証人となるとともに,Dの所有する山林を担保に提供することに同意してもらった。その結果,平成17年10月20日,B信用金庫は,C及びDを連帯保証人とし,D所有の山林に抵当権の設定を受けて,A社に対し1000万円を貸し付けた。なお,C及びDは,連帯保証や物上保証をするに際して保証料を受領していない。
しかし,その後,A社の主要な受注先である大手建設株式会社が同年11月15日,突然更生手続開始の申立てをし,従来の下請関係を抜本的に見直す措置がとられたため,A社の売上高は大幅に減少した。その結果,平成18年2月24日,A社は,ついに振り出した約束手形を決済できず,当該手形が不渡りになってしまった。そして,3月3日,A社は,破産手続開始の申立てをし,同月10日,開始決定がされた。また,A社の代表者であるCも,多額の連帯保証債務を弁済できない状態になり,3月3日,自ら破産手続開始の申立てをし,同月10日,開始決定がされた。Dは,このような状況の推移に驚いていたが,4月初めになって,B信用金庫の担当者から連帯保証債務の即時の履行を強く請求された。ところが,D自身,自己の経営しているコンビニエンス・ストアについて,近くに24時間営業のスーパーマーケットが出店したことなどから急激にその売上げが落ち込んでいたところであり,そこにこのような連帯保証債務の履行の請求がされれば事業の継続は困難になると判断して,4月14日,再生手続開始の申立てをし,同月28日,開始決定がされた。
B信用金庫は,A社の破産手続において1000万円の貸付債権について届出をし,Cの破産手続において1000万円の連帯保証債務に係る債権について届出をするとともに,D所有の山林に対する抵当権を近く実行する旨をDに通知した。ところが,Cの破産手続における債権調査では,Cの破産管財人Eは,上記連帯保証契約を否認する旨を主張して,B信用金庫の破産債権を認めない旨の認否をしたので,B信用金庫は破産債権査定申立てをした。また,B信用金庫がD所有の山林に対する抵当権を実行しようとしているので,Dの再生手続の監督委員Fは,否認権を行使する権限の付与を受け,上記抵当権設定契約を否認する旨を主張して,抵当権不存在確認の訴えを提起した。
〔設 問〕
1. あなたがFであるとして,B信用金庫に対する抵当権不存在確認訴訟において,否認権の行使を基礎づけるため,どのような主張をすることが考えられるか。想定されるB信用金庫からの反論も指摘しながら論じなさい。
2. あなたがB信用金庫の代理人であるとして,Cの破産手続における破産債権査定の手続において,Eの否認権の主張に反論するため,どのような主張をすることが考えられるか。CがA社の代表者であるという点を考慮に入れて,想定されるEからの反論も指摘しながら論じなさい。
出典:法務省「2006年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。