司法試験論文式過去問演習

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2006年 司法試験 論文式 国際関係法(私法系) 第2問

問題

配点 50点

〔第2問〕(配点:50)

日本の商社であるX会社は,甲国の有名な醸造所であるY会社との間で,Yが特定年に特定の一級畑で収穫されたぶどうの果実のみを使って醸造した特定の銘柄の瓶詰ワイン(一連番号の付されたもの)で,Yの特定の倉庫に保管中のもの全部(以下「本件物品」という。)を「F.O.B.甲国の港(インコタームズ2000)」の貿易条件で買い受け,代金は日本の銀行の発行する信用状で決済する契約を締結した。この契約の条項中には,準拠法を日本法とする旨の条項があるが,紛争の解決方法に関する条項はない。Xは,日本の海上運送業者に甲国の港から日本の港までの運送を依頼した。

以上の事実を前提として以下の設問に答えよ。なお,各問は独立した問いである。

〔設 問〕

1. Xが,日本に到着した本件物品を転売したが,予想外に品質が劣っていたため予定した価格で販売できなかったことを理由に,Yに損害賠償を請求している。Xは,Yの損害賠償義務は日本において履行されるべきであるとして,日本の裁判所に訴えを提起した。日本の裁判所はこの訴えについて国際裁判管轄権を有するか。なお,Yは日本に事務所,営業所等の活動の拠点や販売代理店などは有していないものとする。

2. Xは,本件物品の日本における転売時期との関係で,陸揚げから1年後に本件物品の検査をしたところ,その劣化の原因がYの倉庫での保管状態にあることが判明した。XのYに対する損害賠償請求について日本の裁判所が国際裁判管轄権を有することを前提とした場合に,XのYに対する請求は認められるか。

3. Yは,甲国の港でXに本件物品を引き渡したが,XY間の契約締結以前に,甲国のZ会社が本件物品をYから買い受け,本件物品をYに預けたままにしていたことが判明した。Xが日本の港で陸揚げされた本件物品の引渡しを受けた後,Zは,Xに対し,所有権に基づいて本件物品の引渡しを求める訴えを日本の裁判所に提起した。Xは本件物品について自己の所有権を主張している。XZ間の本件物品の所有権に関する争いは,いかなる国の法律によって判断されるか。また,Zの請求は認められるか。なお,甲国法では,①動産の所有権の移転は契約の効果によって生ずる,②動産について売主が所有権を移転した場合には,売主は権利を喪失し,その者からそれ以後に当該動産を買い受けた者は当該動産の所有権を取得することはない,③ただし,動産の売主が商人であり,買主が売買契約後も当該動産を売主に預けていた場合は,その売主からそれ以後に当該動産を買い受けた者は所有権を取得するものとされている。

出典:法務省「2006年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。