2006年 司法試験 論文式 国際関係法(公法系) 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
A国は,国内法に基づいてB国にODA(政府開発援助)を供与してきた。B国は,国際テロリズムを支援している国家であるとして,繰り返し国連総会決議により非難を受けている。国際テロリズム支援国家へのODAを縮小又は廃止するように加盟国に求める国連総会決議も,繰り返し採択されており,大多数の国が国連総会で同様の主張を示している。A国とC国は,A国の海底油田を共同開発しており,C国はそのために長年にわたりA国に技術供与及び投資を行ってきており,この海底油田開発は,今や,A国の資源開発と経済発展のためには不可欠な要因となっている。C国は,国際テロリズム撲滅を国際社会に対して繰り返し主張しており,その主導的な立場にある。A国,B国及びC国は,いずれも国連加盟国である。
そうした状況でC国は,国際テロリズム支援国家へのODAの制限又は禁止は,既に国際慣習法として成立しており,この国際慣習法はA国を拘束しているとして,A国に対して,B国へのODAやそれを根拠付ける国内法を批判して,それらが改められなければ,C国からの海底油田開発に関する技術供与及び投資を打ち切ると公式にA国に対して通告した。
A国は,C国のこの通告に対して,次のように批判した。
「国際テロリズム支援国家へのODAの制限又は禁止については,国連総会決議が繰り返し採択され,諸国の主張が繰り返されたとはいえ,国際慣習法として成立しているとはいえない。仮に国際慣習法として成立しておりA国を拘束しているとしても,このような国際慣習法は,A国からB国へのODAの実施を担保するA国の国内法に違背するので,A国はこの国際慣習法に従うことはできない。A国がB国とどのような経済関係を結ぶかは,A国が決定する問題であって,これについてC国がA国に対して経済的圧力をかけて,A国の対外政策や国内法の変更を迫ることは不干渉原則違反である。」
A国のこの主張に対するC国の反論を論述しなさい。なお,A国の主張に含まれない論点は考える必要はない。
出典:法務省「2006年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。