第11問配点 3点
哲学の重要テーマの1つである心身問題に関する記述として明らかな誤りを含むものを、次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は、[№11])
1. デカルトは、精神を「思考するもの」、物体を「延長するもの」と捉える二元論の立場をとるが、ここから精神と身体は別々に独立した実体であるとする心身二元論が導かれる。思考する人間にとっての認識の対象であるかぎり、人間の身体も物体であり、精密な自動機械であるとされる。
2. マルブランシュは、機会原因論を唱えた。精神と物体が何ら共通点を持たない全く異なる実体であるとした場合、「歩こうと思う時に足が動く」といった簡単な事実も説明することが困難になるが、私の意志が直接的に足を動かすのではなく、私の意志を機会として神が私の足を動かすのだと解釈される。
3. ホッブズは、自然界には物質的実体しか存在しないという観念論の立場に立つ。このため精神も物質であると捉えられるが、人間の身体は、物理的法則に支配されない自由を持つ生物学的機械とされる。
4. スピノザは、実体はあくまでも神のみであり、思考と延長はその唯一の実体の2つの属性であるとした。精神と物質の関係については、それぞれ独立したものとして相互に関係するのではなく、平行しているものとして心身平行論を唱えた。
5. メルロ=ポンティは、現象学の立場から心身二元論を批判した。身体は、単なる抽象的な物体ではなく、主体と客体の2つの側面を備えた両義性を持つ「生きられた身体」であり、人間を世界へとつなぐ媒体でもある。世界も単なる物体ではなく、身体を通して感じられ、体験される「生きられた世界」と捉えられる。