第11問配点 3点
紀貫之の和歌について述べた以下の文章を読んで,その内容について述べたものとして最も適切なものを,後記1から5までの中から一つ選びなさい。(解答欄は,[№11])
1. 古今集時代の人々にとって生活の必要物であった和歌に譬喩や見立てなどの技巧を使用することは,そこに新風を吹き込むための必然であったが,後代になるとそれが弊害となり,俊成は技巧的な側面を排した和歌の価値を提唱するに至った。
2. 子規は,貫之の歌の音楽性を否定し「駄洒落」であると切り捨てたが,それは曖昧性を排除して理知的に歌を解釈しようするあまり,その技巧性のみに注目してしまったために生じた評価であった。
3. 俊成は貫之の歌について,承均の歌の古風なところを分かりやすく詠んだと評しているが,加えて,この貫之の歌には俊成が重視していた「何となく艶にもあはれにも」聞こえるような声調や韻律が備わっている。
4. 承均の歌は,花の名所である雲林院を舞台に,花が散るのと同時に春にもかかわらず降る雪を詠んでいる。花と雪が地面を覆い,一面が真っ白な様子は,ずっと消えることがなさそうな状態であるというのである。
5. 貫之の歌は,桜と季節はずれの雪とが舞う姿を見て,それぞれをそれぞれに見立てて表現したもので,当時の一般的風潮におもねってしまってはいるものの,声に出されることによって,そのすぐれた音楽性が明らかになる。
【出典】大岡信『紀貫之』