第6問配点 3点
次のアからオまでの各和歌についての解説として明らかに誤っているものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№6])
ア. 思ひつつぬればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを小野小町し
イ. はちす葉の濁りに染まぬ心もてなにかは露を珠とあざむく僧正遍昭
ウ. 春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる凡河内躬恒
エ. 大江山いくのの道の遠ければまだふみもみず天の橋立小式部内侍
オ. わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾く間もなし二条院讃岐
1. アの和歌は,係助詞「や」を用い,係り結びとなっている。一途に思いながら寝たのであの方が夢に現れたのか,もし夢と知っていたなら目を覚まさないでいたのに,と反実仮想の技法を用いて詠んでいる。
2. イの和歌は,「はちす」や「濁りに染まぬ」等の仏教的な言葉を用い,そのような綺麗な心を持ちながらどうして人を欺くのか,と戯れている。蓮の葉の上に輝く露の美しさを詠むことに眼目がある。
3. ウの和歌は,自らはどんなに上手に春の夜の闇に隠れたつもりであっても,花は目には見えずとも香りでそれとわかってしまう,と梅の花を擬人化して,その香りの高さを愛でている。
4. エの和歌は,「大江山」「生野」「天の橋立」と,わずかな字数の中に多くの地名を織り込み,また「生野」と「行く」,「文」と「踏み」といった掛詞も用いて,技巧的に詠んでいる。
5. オの和歌は,「潮干に見えぬ沖の石の」が「人こそ知らね乾く間もなし」を導く序詞となっている。また「袖が乾く間もない」とは涙で濡れることを表しており,人知れず涙にくれる自らの姿を詠んでいる。