第11問配点 3点
次のアからオまでの各記述は,「人間とは何か」について述べた思想家の著作からの引用である。後記1から5までは,それぞれの引用についての説明であるが,説明の内容として下線部に明らかな誤りが含まれているものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№11])
1. アは『倫理学』からの引用である。和辻哲郎によると,社会とは個人や自我を中心に考察できるものではなく,人間そのものが,個人であると同時に社会的存在であり,したがって個と全体という互いに矛盾する要素を備えた存在なのである。
2. イは『存在と時間』からの引用である。ハイデガーによると,人間は死と向き合う中で本来的な自己となり得るのだが,ほとんどの場合,日常の忙しさの中で死への不安を感じ,そこから逃れ本来の自己を喪失してしまっている。
3. ウは『実存主義とは何か』からの引用である。サルトルによると,人間は,ペーパーナイフのように概念的に定義できるものではなく,社会との関わりの中で,普遍的な人間本性という「設計図」を現実のものにしていくものである。
4. エは『経済学・哲学草稿』からの引用である。マルクスによると,人間は孤立した存在ではなく,労働を通して他者と連帯し,自己を確証していく存在である。しかし,労働が手段化された社会では,労働者の社会的連帯も失われてしまう。
5. オは『統治二論』からの引用である。ロックによると,人間は自然状態においても,他者の自然権を尊重せよという自然法に従って生活し得るものと考えるが,自然権をより確実に守るために,他人と同意することによって,自ら政府を樹立することができる。