第1問配点 3点
次のアからオまでの各記述は,善悪について述べた思想家の著作からの引用である。後記1から5までは,それぞれの引用についての説明であるが,説明の内容として下線部に明らかな誤りが含まれているものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№1])
1. アは,『この人を見よ』からの引用である。ニーチェは,善人と称する弱者が強者に対して怨念(ルサンチマン)を持ち,悪人として敵視した強者を支配するために生み出したものがキリスト教の道徳であるとし,それを「奴隷道徳」とみなした。
2. イは,『歎異抄』からの引用である。親鸞は,自分の力を頼りとする善人よりも,自分の悪人としての本質を自覚し,絶望しながら仏にすがる悪人こそ,救いの対象にふさわしいとみなし,悪人正機の教えを説いた。
3. ウは,『荀子』からの引用である。荀子は,性悪説を唱え,人間の本性は悪であり,それゆえ,善行とされるものであっても偽りであり信用することができないとし,戦乱の世の人間不信の現状を明らかにした。
4. エは,『道徳及び立法の諸原理序説』からの引用である。ベンサムは,快楽の増大に役立つものが善であり,快楽を妨害し,苦痛をもたらすものが悪であると判断する「功利の原理」から,個人の幸福の総計が社会全体の幸福であるとした。
5. オは,『リヴァイアサン』からの引用である。ホッブズは,正義も道徳も存在しない自然な状態においては,善悪の判断基準が個々の人間の内にあることになり,その結果,人間は利己的に行動し,互いに他人を敵として争うことになると説いた。