条文・判例・学説を体系的に整理
皇室の財産授受への国会議決
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない。
大日本帝国憲法における統帥権と輔弼
大日本帝国憲法の下では天皇が陸海軍を統帥する統帥権を有し、作戦用兵のための統帥権については国務大臣の輔弼の対象外とされたため、帝国議会は関与し得なかった。
大日本帝国憲法における国務大臣の責任
大日本帝国憲法の下では各国務大臣は天皇を輔弼しその責任を負うものとされ、帝国議会に対して責任を負うものではなかった。
八月革命説の内容
八月革命説は、ポツダム宣言の受諾により天皇主権から国民主権へと主権者が変更されるという法的な革命が生じたと説明するものであり、革命が漸進的に進行して占領体制から脱した時に成就したとする説ではない。
憲法改正の限界と制憲権
憲法を始源的に創設する憲法制定権力と憲法によって与えられた憲法改正権とを区別する考えは、憲法改正には法的な限界があるとする見解の根拠となる。
憲法改正の公布と「国民の名で」の趣旨
憲法改正の公布は天皇が内閣の助言と承認のもとで「国民の名で」行うものとされており、「国民の名で」というのは憲法改正が主権の存する国民の意思によることを明らかにする趣旨である。
国事行為についての内閣の責任
天皇の国事に関するすべての行為には内閣の助言と承認を必要とし、内閣がその責任を負うから、天皇が国事行為の責任を問われることはなく、天皇の発案に基づいて国事行為を行うことも予定されていない。
男女別定年制と公序良俗
女子の定年年齢を男子より低く定めた就業規則の部分は、企業経営上の観点から女子を差別しなければならない合理的理由が認められず、専ら女子であることのみを理由とした性別のみによる不合理な差別を定めたものとして、民法90条の規定により無効であり、この判断に当たっては、個人の尊厳と両性の本質的平等を定める民法の規定とともに憲法14条1項が参照される。
昭和56年3月24日最高裁第三小法廷民集35巻2号300頁(雇傭関係存続確認等)
人格的利益説と一般的自由説
憲法13条で保障される幸福追求権の内容について、個人の人格的生存に不可欠な利益を内容とする権利の総体をいうと理解する見解(人格的利益説)を採ったとしても、これに含まれない生活領域に関する行為の自由が憲法上全く保護されなくなるわけではない。
プライバシー権の請求権的側面
プライバシー権を「自己に関する情報をコントロールする権利」と理解する立場は、その保障範囲が個人の私的領域に他者を無断で立ち入らせないという自由権的側面にとどまらず、プライバシーの保護を公権力に対して求めるという請求権的側面も想定している。
嫡出性の有無による法定相続分の区別
嫡出性の有無による法定相続分の区別は、立法府に与えられた裁量権を考慮してもこうした区別をすることについて合理的な根拠が認められないから、合理的理由のない差別として憲法14条1項に違反する。
平成25年9月4日最高裁大法廷民集67巻6号1320頁(遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件)
会社の政治献金と参政権の侵害
最高裁判所は、株式会社による政党への政治資金の寄付について、会社にも政治活動の自由が保障されるとし、当該寄付は国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに直接影響を及ぼすものではなく、選挙権の自由なる行使を直接に侵害するものとはなしがたいとして、公序良俗に違反しないとした。
昭和45年6月24日最高裁大法廷民集24巻6号625頁(取締役の責任追及請求)
憲法の私人間効力
趣旨・目的・法文から私人間に直接適用される人権規定を除き、自由権的基本権や平等原則の趣旨は、民法90条等の私法の一般条項の解釈適用を通じて私人間にも及ぶとするのが通説・判例の立場である。
昭和48年12月12日最高裁大法廷民集27巻11号1536頁(三菱樹脂事件)
条例の罰則と平等原則
条例において取締規定を設け法律の委任の範囲で罰則を規定することは許され、憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によって差別を生ずることは憲法自ら容認するところであるから、それぞれの条例間で法定刑が異なっても憲法14条に違反しない。
昭和33年10月15日最高裁大法廷刑集12巻14号3305頁(売春等取締条例違反)
天皇・皇族の人権
天皇及び皇族は日本国籍を有する日本国民であるが、世襲の天皇制(憲法1条・2条)を維持するのに必要な範囲で、憲法上の権利の保障が国民一般と同一にはならず、言論の自由等について制約を受ける。
未成年者の選挙権と憲法15条3項
未成年者は心身ともに発達途上にあり成熟した判断能力を持たないことから人権の保障について成年者と異なる考慮が必要となり、憲法15条3項も、公務員の選挙については成年者による普通選挙を保障するものであって、未成年者に選挙権を保障してはいない。
法人の精神的自由権
法人は、性質上可能な限りで人権享有主体となり、経済的自由権のみならず精神的自由権についても保障が及び得る。
昭和45年6月24日最高裁大法廷民集24巻6号625頁(取締役の責任追及請求)
租税法における立法裁量
国民の租税負担を定めるには国政全般からの総合的政策判断と極めて専門技術的な判断が必要となるので、租税法の分野における取扱いの区別は、立法目的が正当で区別の態様が目的との関連で著しく不合理でない限り憲法14条1項に違反しない。
昭和60年3月27日最高裁大法廷民集39巻2号247頁(所得税決定処分取消)
憲法20条2項と3項の関係
憲法20条2項は何人も宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されないことを定め、同条3項は国及びその機関が宗教的活動をすることを禁止しており、両者はその目的、趣旨、対象、範囲を異にし、2項の宗教上の行為等は必ずしも全てが3項の宗教的活動に含まれるという関係にはなく、3項の宗教的活動に含まれないとされる宗教上の祝典、儀式、行事等であっても、国家がこれに参加を強制すれば2項に違反する。
精神的自由の制約に対する審査基準
精神的自由の制約については、経済的自由の制約と比較して厳格な審査基準が適用され、立法者に広い裁量が認められるわけではない。