条文・判例・学説を体系的に整理
皇位継承の世襲の憲法要請と男系男子
憲法2条は皇位は世襲のものであると定めるにとどまり、男系男子による継承までは求めておらず、男系男子主義は皇室典範による選択である。
国事行為の委任と摂政の要件の区別
天皇は、法律の定めるところにより、国事に関する行為を委任することができ(憲法4条2項)、摂政は、皇室典範の定めるところにより置かれたときに天皇の名で国事行為を行う(憲法5条)のであって、国事行為の委任がされた場合に摂政が国事行為を行うのではない。
国事行為の認証の効力要件性の否定
国務大臣の任免等の認証(憲法7条5号)は天皇の国事行為であるが、認証はこれらの行為の効力要件ではなく、任免の行為は認証がなくても成立し効力を生じるとするのが通説である。
皇室の財産授受への国会議決
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない。
改正無限界説と帝国憲法からの全面改正
日本国憲法は、大日本帝国憲法に定められた憲法改正手続を遵守して制定され、その全面改正として法的には有効に成立したとする見解は、憲法改正に法的な限界はないとする見解(無限界説)の立場であり、限界説の立場ではない。
憲法改正限界説と憲法の同質性
憲法改正権は、憲法制定権力発動の所産である憲法に根拠を有する以上、憲法の同質性を失わせるような改正をする法的能力を持ち得ないとするのは、憲法改正に限界があるとする見解(限界説)の立場である。
憲法改正限界説と基本原理変更の法外性
ある憲法の基本原理が所定の憲法改正手続に従って改正されたとすれば、それは憲法の廃止と新憲法の制定という、法を超えた政治的事件ということになる、とするのは限界説の立場である。
九条一項限定説と二項目的限定説の帰結
9条1項について自衛目的の戦争等は放棄していないとする見解と、2項の「前項の目的を達するため」を1項による戦争放棄の目的を達するためと解する見解を組み合わせると、自衛のための戦争は認められ、そのための戦力保持も許される。
九条一項限定説と二項全戦力不保持説
9条1項について自衛目的の戦争等は放棄していないとする見解に立っても、2項の「前項の目的を達するため」は動機を示すにすぎず一切の戦力を禁止するとする見解をとれば、戦力の保持が一切禁止される結果、自衛のための戦争も事実上放棄されることになる。
九条全面放棄説と一切戦力不保持説
9条1項により目的のいかんを問わず戦争と武力による威嚇・武力の行使が一切放棄されているとする見解と、2項が一切の戦力の保持を禁止するとする見解を組み合わせると、侵略戦争はもとより自衛のための戦争も認められず、そのための戦力の保持も一切許されない。
憲法優位説の条約優位説への批判の論拠
憲法優位説の論拠の一つは、条約締結要件が憲法改正手続より緩やかであるため、条約優位説をとると条約によって実質的に憲法を改正することも可能になるという批判である。
憲法優位説の条約締結権規定の意味
憲法優位説は、条約が国内法として効力を有するのは憲法が条約締結の権能を付与しているからであると説明し、条約締結権を定める憲法の規定(73条3号等)を条約の効力の根拠とも捉える。
憲法優位説による条約の違憲審査の自制
憲法優位説の中にも、憲法81条の文言に条約が含まれていないことや憲法98条2項が条約の誠実遵守を宣言していることを根拠に、条約の違憲審査を控えるべきであるとする考え方がある。
納税義務の法律による具体化
憲法30条は、国民の納税の義務を定めるが、その義務は法律の定めるところにより負うもの(法律による具体化が必要)である。
人格的利益説の新しい人権の慎重な承認
人格的利益説は、「新しい人権」の承認について、人格的生存に不可欠かという要件の下で種々の要素を考慮して慎重に決定することを求める見解といえる。
一般行為自由説と人格的利益説の保障範囲
一般的行為自由説は人権保障の範囲を広げる見解であるのに対し、人格的利益説は不可欠性という厳しい要件の下で保障範囲を決めるため、人権保障の範囲が狭くなりすぎるおそれがある。
人格的利益説と公共の福祉の制約
人格的利益説は、人権の範囲を人格的生存に不可欠な利益に絞るが、そのことによって公共の福祉による制約を否定するものではない。
憲法17条による裁量逸脱の免責立法無効
憲法17条は、公務員の不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を免除又は制限する法律が立法府の裁量を逸脱するときは、これを違憲無効とする効力を持つ。
平成14年9月11日最高裁大法廷民集56巻7号1439頁(損害賠償請求事件)
書留郵便の故意重過失の賠償制限の違憲
書留郵便物について、郵便業務従事者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に国の賠償責任を免除又は制限する部分は違憲であり、全面免除だけでなく賠償額に一定の制限を付する法律も許されない。
平成14年9月11日最高裁大法廷民集56巻7号1439頁(損害賠償請求事件)
特別送達の軽過失の賠償制限の違憲
特別送達郵便物については、郵便業務従事者の故意又は重大な過失の場合だけでなく、軽過失による場合についても国の損害賠償責任を免除又は制限する部分は違憲である。
平成14年9月11日最高裁大法廷民集56巻7号1439頁(損害賠償請求事件)