条文・判例・学説を体系的に整理
文理解釈の意義
文理解釈とは、条文の文言の辞書的意味や条文の文法的構造等に基づいて条文を解釈する方法である。
憲法改正発案権否定説と国会の審議権
憲法改正の発案権は内閣にはないとする説に対しては、発案権を内閣に認めても国会の意思決定に直ちに影響を及ぼすわけではなく、国会の自主的審議権が必然的に害されるものではない、との批判が成り立つ。
憲法改正の総議員法定数説と欠員の批判
憲法改正の発議に必要な各議院の総議員の3分の2以上の賛成における「総議員」を議員の法定数と解する説に対しては、欠員に相当する数を常に反対投票と同じに扱う点で合理性に欠けるとの批判が成り立つ。
憲法改正の有効投票説と無効票の扱い
書き損ない等で無効とされた投票をすべて反対投票と数えるのは不合理であるとの批判は、無効票を反対票と数えることになる説に向けたものであり、国民投票の「過半数」を有効投票の過半数と解する説に対する批判とはならない。
立憲主義を支える抵抗権の意義
抵抗権は市民革命期に大きな影響力を持ったが、実定憲法により人権保障の諸制度が整備された段階では、その主たる意義は立憲主義を支える基本理念であることに求められる。
国家緊急権の肯定論と憲法の無規定
国家緊急権を肯定する立場は、非常事態の際に国家の存立を維持するため憲法秩序を一時停止することを認めるが、日本国憲法が国家緊急権を規定していないことは、立憲主義に対する例外を認めることへの慎重な姿勢を示している。
日本国憲法と戦う民主制の不採用
憲法の基本的価値に反する表現活動等の自由は認めるべきでないとの考え方(戦う民主制)は成り立ちうるが、日本国憲法はこの立場を採用していない(憲法21条1項は一切の表現の自由を保障する)。
国の私法上の契約と公権力発動の例外
国が私人と対等の立場で締結する私法上の契約は、成立の経緯及び内容において実質的にみて公権力の発動たる行為と変わりがないといえるような特段の事情のない限り、憲法9条の直接適用を受けず、私法の適用を受けるにすぎない。
平成元年6月20日最高裁第三小法廷民集43巻6号385頁(不動産所有権確認、所有権取得登記抹消請求本訴、同反訴、不動産所有権確認、停止条件付所有権移転仮登記抹消登記請求本訴、同反訴及び当事者参加)
法律婚主義と非嫡出子相続分の多数意見
平成7年大法廷決定の多数意見は、法定相続分の嫡出性に基づく別異取扱いは民法が採る法律婚主義から生じるものであって不合理な区別ではないとした。
平成7年7月5日最高裁大法廷民集49巻7号1789頁(遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告)
個人の尊厳と非嫡出子相続分の反対意見
平成7年大法廷決定の反対意見は、非嫡出子は自らの意思や努力によって変えることができない属性に基づいて差別されていると批判し、立法裁量にも個人の尊厳という憲法上の限界があるとした。
平成7年7月5日最高裁大法廷民集49巻7号1789頁(遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告)
立候補の自由の憲法上の保障
立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持するうえできわめて重要であり、憲法15条1項の保障する重要な基本的人権の一つと解される。
昭和43年12月4日最高裁大法廷刑集22巻13号1425頁(公職選挙法違反)
選挙権二元説と選挙犯罪者の制限
選挙権を権利と公務の二面を併せ持つとする見解によれば、選挙権は公務としての特殊な性格に基づく必要最小限度の制限を受け、選挙犯罪者が一定期間選挙権を行使できないことはその例といえる。
選挙犯罪者の選挙権制限
選挙権を国政への参加を国民に保障する権利という面のみを有するものと解し、公務員の選挙に関与する公務という面を否定する見解によれば、選挙犯罪者が一定期間選挙権を行使できないことは権利そのものの制限となるから、選挙の公正確保を目的とした必要最小限度の制限といえるかどうかが問題となる。
非嫡出子相続分決定の合理性審査
非嫡出子相続分を2分の1とする旧民法900条4号ただし書前段を合憲とした平成7年7月5日大法廷決定の多数意見は合理的根拠と著しい不合理性を審査し、共同反対意見は立法目的自体の合理性及び手段との実質的関連性についてより強い合理性を検討した。
平成7年7月5日最高裁大法廷民集49巻7号1789頁(遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告)
法人の人権享有主体性
憲法第3章の人権規定は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用される。
昭和45年6月24日最高裁大法廷民集24巻6号625頁(取締役の責任追及請求)
外国人の人権享有主体性
憲法第3章の人権規定は、権利の性質上日本国民のみを対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人にも等しく及ぶ。
昭和53年10月4日最高裁大法廷民集32巻7号1223頁(在留期間更新不許可処分取消)
外国人の自由権保障の限界
外国人に対する自由権の保障は、入国の自由や在留権、再入国の自由など権利の性質上日本国民のみを対象とするものについては及ばない。
平成10年4月10日最高裁第二小法廷民集52巻3号776頁(再入国不許可処分取消等)
未成年者の人権
憲法第3章の人権規定は未成年者にも適用されるが、人権の性質によっては保障の範囲や程度が異なることがある。
人権規定の国民という主語と外国人
憲法第3章の人権規定が「国民」を主語としていることから、文理解釈によれば、外国人の人権が保障されていることを否定する見解を導くことができる。
非嫡出子相続分の反対意見の審査基準
平成7年大法廷決定の反対意見は、法定相続分の嫡出性に基づく別異取扱いの合理性の判断は、単なる合理性の存否によってなされるべきではなく、立法目的自体の合理性及びその手段との実質的関連性についてより強い合理性の存否が検討されるべきであるとした。
平成7年7月5日最高裁大法廷民集49巻7号1789頁(遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告)