条文・判例・学説を体系的に整理
憲法改正限界説と根本規範
憲法改正の限界説は、憲法の妥当性の根拠を基本的人権の保障を含む根本規範に求め、この根本規範に反する改正は許されないとする。
自然法論的な憲法改正限界説
憲法改正の限界説は、憲法規範には実定化された自然法規範が含まれており、それは実定化されても自然法規範としての性質を失わないことを根拠の一つとする。
憲法改正無限界説の論拠
憲法規範中に価値序列や階層性を認めることはできないとする主張や、憲法制定時の規範・価値によって将来の世代を拘束するのは不当であるとする主張は、憲法改正の無限界説の論拠である。
形式的意味の憲法と実質的意味の憲法
法形式にかかわらず国家の組織や作用に関する基本的な規範を「実質的意味の憲法」と呼び、この概念からすれば、国会法や公職選挙法の一部の規定も憲法法源としての意味を持つ。
固有の意味の憲法と立憲的意味の憲法
憲法の内容に着目すると固有の意味の憲法と立憲的意味の憲法を区別することができる。
フランス人権宣言と立憲的意味の憲法
「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない社会は、すべて憲法を持つものではない」というフランス人権宣言16条の一節は、固有の意味の憲法ではなく、立憲的意味の憲法の趣旨を示したものである。
納税義務と外国人
憲法30条は国民の納税義務を定めているが、国際法や条約に基づいて免除される場合を除き、法律の定めるところにより、我が国に居住する外国籍の者から徴税することは違憲ではない。
国民主権の正当性の契機と自由委任
国民主権の正当性の契機における国民は抽象的な全国民を指し、そこから要請される代表制は選挙民の意思に拘束されない自由委任を前提とするものであって、命令的委任に拘束された国民代表制ではない。
国民主権の権力性の契機と有権者団
国民主権の観念は君主主権との対抗関係の下で生成したものであり、その担い手は特別の資格を持った君主ではなく、権力性の契機においては観念的・抽象的なものではなく実在する有権者団である。
国民主権における権力性の契機
主権の権力性の契機において、主権の主体である国民は有権者(選挙権者の総体)を指すが、国民を有権者ととらえることは必ずしも憲法が直接民主主義を採用しているという結論を帰結するわけではない。
日本国憲法における国民の義務の意義
国民主権と基本的人権の保障を旨とする日本国憲法において課される国民の義務は、国家への全面的な服従義務を意味するものではなく、憲法の基本原理と調和する限りにおいて認められる。
憲法の形式的優位性の実質的人権保障
日本国憲法の形式的優位性の実質的根拠は、個人の尊厳を体現する基本的人権の保障(97条)に求められ、公務員の憲法尊重擁護義務を定める99条は、その実質的根拠を示すものではない。
一元的外在制約説と法律の留保の批判
公共の福祉を人権の外にある一般的な制約原理と解する一元的外在制約説に対しては、人権制限が容易に肯定され、明治憲法の法律の留保のような機能を実質的に果たすおそれがあるという批判が成り立つ。
一元的内在制約説と二元説への批判の区別
公共の福祉を人権相互の矛盾・衝突を調整する実質的公平の原理と解する一元的内在制約説に対する批判は、「必要最小限度」等の基準が抽象的で違憲審査の具体的基準が明らかでない点にあり、公共の福祉を国の経済的・社会的政策と捉えることの問題は二元的制約説に対する批判である。
内外二元制約説と新しい人権の根拠
公共の福祉による制約を経済的自由権と社会権に限り、憲法13条を倫理的な規定と解する内在・外在二元的制約説に対しては、13条の法規範性を否定するため、プライバシー権などの新しい人権を基礎づける根拠を失わせるという批判が成り立つ。
政党の結社の自由と内部統制
国民には政党を結成し、政党に加入し、若しくは政党を脱退する自由が保障されているが、政党は政治上の信条や意見を共通にする者が任意に結成する団体であるから、党員に対して政治的忠誠を要求し、一定の統制を施すことができる。
昭和63年12月20日最高裁第三小法廷集民155号405頁(家屋明渡等請求事件)
猿払事件の政治的行為の間接付随的制約
猿払事件判決は、特別権力関係論によることなく、憲法15条2項から導かれる行政の中立的運営と公務員の政治的中立性の要請を根拠として、公務員の政治的中立性を損なうおそれのある政治的行為の禁止は合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものである限り憲法の許容するところであるとし、禁止の目的、目的と禁止される行為との関連性、得られる利益と失われる利益との均衡の三点から合憲と判断した。
昭和49年11月6日最高裁大法廷刑集28巻9号393頁(国家公務員法違反)
猿払事件の人事院規則への委任の合憲性
猿払事件判決は、国家公務員法102条1項が、公務員の政治的中立性を損うおそれのある行動類型に属する政治的行為を人事院規則に委任することは、憲法の許容する委任の限度を超えるものではないとした。
昭和49年11月6日最高裁大法廷刑集28巻9号393頁(国家公務員法違反)
猿払事件の公務員の職務差異の扱い
猿払事件判決は、公務員の管理職・非管理職の別、現業・非現業の別、裁量権の範囲の広狭などは、政治的中立性を維持しようとする法の目的を阻害する点に差異をもたらさないとし、職務内容や行為の内容を総合的に考慮して処罰の可否を判断する手法を採っていない。
昭和49年11月6日最高裁大法廷刑集28巻9号393頁(国家公務員法違反)
時場所方法規制の緩やかな審査の根拠
時・場所・方法について一律に規制する場合は表現内容に対する規制より恣意的な表現抑圧の危険が相対的に低いはずだという指摘は、内容中立規制に緩やかな基準を適用する見解の根拠であって、その見解に対する批判とはならない。